ソニー銀行の外貨定期預金と野村證券の外貨 MMF どっちが得か ? [money]

外貨預金は為替差益が課税対象になりますが、管理報酬などがかかりません。
一方、外貨 MMF は管理報酬がかかるものの、為替差益に課税されないというメリットがあります。

ソニー銀行は為替手数料が安く外貨運用には魅力的です。
ソニー銀行で外貨 MMF を購入するのが一番素直なやり方ですが、それでは上手くいきません。
というのも、ソニー銀行の外貨 MMF は円預金から外貨預金に両替し、そこから外貨 MMF を買うという手続きになっています。

戻すときはその逆。
外貨 MMF を外貨預金にし、それを円に戻します。
外貨預金 -> 円預金となるので、為替差益が課税対象になってしまいます。

そこで、ソニー銀行の有利な為替手数料で外貨定期預金した場合と、他の金融機関で外貨 MMF を購入した場合と、どちらが得なのか。
計算してみました。

外貨 MMF は野村證券で購入するとします (野村を選んだ理由は特にありません)。

まず、1,000,000円を米ドル定期預金または MMF にし、1 年後どうなるか。
為替レートは 1ドル 100円とします。

ソニー銀行の米ドル為替手数料は 25銭、定期預金 1 年の利率は 1.74375% です。

野村證券の米ドル為替手数料は 50銭、MMF の利率は 1.843% です。
さらに管理報酬等がややこしいのですが、0.15% (上限)の投資顧問報酬、0.4%(上限)の販売会社報酬、0.1%(上限)の代行協会員報酬、ならびにトラスト全体について年間15,000米ドルの管理報酬、その他に保管報酬、支払・所在地・登録・名義書換事務代行報酬がかかります。またその他の費用として目論見書、運用報告書、通知の作成・印刷費用、弁護士費用、監査費用、登録費用、銀行手数料等の費用が実費としてかかります。
簡単のため、各手数料は上限値で計算し、「ならびに」以下は 0 とします。

ソニー銀行で米ドル定期にした場合は、
  1,000,000円 / 100.25円 = 9,975.06ドル
となり、1 年後の利息は
  9,975.06ドル × 0.0174375 × 0.8(源泉分離課税分) = 139.15ドル
となります。

1年後の為替レートが 1ドル 100円だった場合。
受け取り額は
  (9,975.06 + 139.15)ドル × 99.75円 = 1,008,893円
為替差益は発生しないので、雑所得としての課税はありません。


1年後の為替レートが 1ドル 110円だった場合。
受け取り額は
  (9,975.06 + 139.15)ドル × 109.75円 = 1,110,035円
そのうち為替差益は
  9,975.06ドル × 109.75円 - 1,000,000円 = 94,763円

今回は元本 1,000,000円で為替差益が 20万円以下となり、雑所得としての申告は不要です。
仮に、元本が 3,000,000円だった場合、為替差益は約 94,763 × 3 = 284,289円となり、給与所得などとあわせて課税されます。
ざっくり所得税 10%, 住民税 10% とすると
  284,289円 × (0.1 + 0.1) = 56,857円
が税金です。
1,000,000円あたりに直すと
  56,857円 / 3 = 18,952円

税引き後受け取り額は
 1,110,035円 - 18,952円 = 1,091,083円
となります。


野村證券で米ドル MMF を購入した場合は、
  1,000,000円 / 100.5円 = 9,950.24ドル
となり、1年後の利息は
  9,950.24ドル × 0.01843 × 0.8(源泉分離課税分) = 146.70ドル
となります。
管理報酬は
  (9,950.24 + 146.70)ドル × (0.0015 + 0.004 + 0.001) = 65.63ドル
となります。

1年後の為替レートが 1ドル 100円だった場合。
受け取り額は
  (9,950.24 + 146.70 - 65.63)ドル × 99.5円 = 998,116円
となります。

1年後の為替レートが 1ドル 110円だった場合。
受け取り額は
  (9,950.24 + 146.70 - 65.63)ドル × 109.5円 = 1,098,429円
となります。


というわけで、為替レートが動かなかった場合、ソニー銀行の外貨定期預金が得、円安になった (かつ為替差益が 20万円越) 場合は、野村證券の外貨 MMF の方が得になるという結果になりました。

ただし、為替レート以外にも、元本、利率、為替手数料の優遇、管理報酬、給与所得、他の雑所得などのパラメータの変化により結果は変わってくるので、厳密な計算と予測は不可能という当たり前の結論になりました。