脳に悪い7つの習慣 [book]

脳に悪い7つの習慣 / 林 成之 (著)

脳に悪い7つの習慣

脳に悪い習慣を理解し、それを克服し、脳の力を引きだすことがテーマです。

脳がもつ本能は、「生きたい」「知りたい」「仲間になりたい」の3つで、これに逆らわないことが重要とのこと。
「生きたい」が分かりにくいですが、要するに「統一・一貫性」と「自己保存」のこと。
これらは過剰に出てしまうとマイナスとなる場合があるので (例えば、頑固になって相手の意見を受け入れないなど)、注意が必要です。

新書ですが、内容は濃いと思いました。
しっかりと、理由が説明されているので、こうすればよい、という対策が飲み込みやすいです。
ただ、文章が読みにくい部分が多々あるので、じっくりと読む必要があります。
そこは脳に理解しやすいように書いて欲しかったです。


以下、読書メモ。

p.4

みなさんが脳に悪い習慣から逃れられない原因の一つは、そもそもそれが脳にとってよくないことだと知らないからだと思います。いったん、「この習慣は脳に悪いんだな」と認識すれば、「うっかり、やってしまう」ことを避けられるようになります。


p.5

本書は私のこれまでの知見をもとに、みなさんが「脳に悪い習慣」を知り、それをやめることで、脳のパフォーマンスを最大限に発揮できれば、との思いで執筆したものです。


p.20

脳神経細胞がもつ本能は、たった3つです。「生きたい」「知りたい」「仲間になりたい」ーーこれは、脳のなかで周囲の細胞同士がつながり合い、情報処理を存在意義として成り立っていることを考えれば、よくわかります。


p.21

一つ明確にいえるのは、脳の機能を最大限に活かすためには、脳神経細胞がもつ本能を磨くべきだということです。


p.36

一度、A10神経群で、「嫌い」というレッテルがはられてしまうと、脳はその情報に関して積極的に働かなくなります。脳の理解力や思考力、記憶力を高めるには、まず「おもしろい」「好きだ」というレッテルをはらなければなりません。「好きになる力」を養うことは、そのまま「頭をよくすること」であるともいえるのです。


pp.36-37

ここで、大切なのは、苦手なことを避けるのではなく、まずは興味をもってチャレンジしてみることなのです。
〜略〜
では、「チャレンジしたが、やはり苦手だ」というケースではどうすればよいのでしょうか。
たとえば、「いまの仕事が好きになれない」「こんなトラブルには対処できない」という場合はどう対処すべきなのでしょうか。
このようなときは、自分で「この条件において」という前提をおいてみることが有効です。


pp.37-38

仕事でトラブルが起きたときも同様です。「嫌だな」「面倒だな」とうんざりしても、何もいいことはありません。「このトラブルにおいて、自分が最高の解決策を出すんだ」と考え、トラブルの解決に楽しみを見出そうとしてみましょう。


p.39

自分が指導される立場にあるとして、指導者が嫌いだと、A10神経群はその指導内容にも「嫌いだ」というレッテルをはります。つまり、勉強ができるようになったり、仕事で活躍したりするためには、まず先生や上司を好きになることが必要なのです。


p.40

まずは、「こういう人は苦手、嫌い」といった先入観を取り払うよう、意識することです。


p.41

常に「人柄を知っていいところを見つけよう」という姿勢をもち、最初から「きっと好感をもてるだろう」と考えて話を聞くほうが、脳にとっていい結果をもたらすことはいうまでもありません。


p.41

脳のクセのせいで、「違う」が「嫌い」に転化してしまっているだけですから、違うものは違うものとして認めればいいのです。
これは、我慢する、あるいは妥協したり、相手に取り入ったりするという意味ではありません。相手の話をシャットアウトするのではなく、まずは耳を傾け、いったん「なるほど」とその意見を受け止めてみるのです。この「相手の立場に立ち、違いを認める力」が、みなさんの脳を活かすか殺すかを左右するのです。


p.66

自己報酬神経群は、ごほうびへの期待をモチベーションとする機能があることは説明しました。これは逆にいうと、「できた、終わった」と思った瞬間、脳がモチベーションを失うことを意味しています。
つまり、まだ終わっていないのに、「できた」と思ってしまうと、自己報酬神経群が「もうこのことは考えなくてもよい」と判断するのです。


p.66

仕事や勉強をしていて、まだ完全に終わっていないのに、「だいたいできた」と考えることはありませんか?
これは脳に「とまれ!」と言っているようなものなのです。


pp.100-101

「ダイナミック・センターコア」のしくみを知ると、人間の思考とは、くり返し考えることによって高まるものであることがわかります。つまり、すばらしい考えーー独創的なアイデアや新たな発見は、何度も何度も思考することによって生まれるのです。
これは、思考のくり返しによって磨かれたアイデアと、単なる思いつきが、その意義や完成度において、まったく別のものであることを考えてもよくわかります。
もちろん、くり返し考えるといっても、回数さえこなせばいいというわけではありません。適当に考えるのではなく、緻密に理論の隙間がないように詰めていく必要があります。隙間を見つけたら、そこを埋めるように吟味するのです。


p.118

もし考えたことが本当に重要であれば、脳は4日経ってもきちんと記憶していますから、また考え直し始めることができます。しかし、4日経ってみてよく覚えていなかったり、あまりよい考えではなかったと感じたりするなら、それはあまり重要ではなかったということ。他人と意見がぶつかったときや迷いが生じたときは、いったんそれについて考えるのをやめ、4日経ってから改めて考えたほうがよいのです。
ただし、考えをやめる前に、一度考えたことを文章や図にまとめておくようにしましょう。整理し、4日間離れ、戻ってきて考え直すのです。


pp.126-127

スポーツなどで競り負けてしまう場合によく見られるのが、「自己保存」のクセが働きすぎて守りに入ってしまう反応です。選手同士が雪上でせめぎ合うスキークロスのレースなどでは、ぶつかりそうになった後ろの選手がはじかれてしまうことがよくあります。これは、「自己保存」が反応して「危ない」と思うことが原因です。逆に、もし前を行く選手に先に「危ない」と思わせることができれば、後ろの選手に勝機が生まれます。こうしたスポーツで「果敢に、積極的に攻める」ことがよしとされるのはこのためです。


p.140

姿勢が正しく保たれていないと、身体のバランスが崩れてしまい、空間認知能は働きにくくなるのです。正しい姿勢、水平な目線を維持すると、物事を正確に理解したり、身体をコントロールしたりすることがしやすくなります。


p.141

目線を水平にすることが大切なのは、目に入った情報が傾いていると、能がそれを補正しなければならなくなるからです。とくにスポーツにおいては、この補正する時間によって、身体を動かすタイミングにずれが生じるので注意が必要でしょう。


p.142

姿勢を正すコツはいくつかあります。まずは「いつでも真上に飛び上がれる状態」を意識することです。


p.146

また、空間認知能を低下させる習慣としてあげられるのが、字を雑に書くこと。


p.146

文字は、しっかり丁寧に書くことを心がけましょう。線の長さやアキの幅など同じにすべきところをそろえる、角と角を合わせる、線と線の継ぎ目をつなげることなどがポイントです。


p.161

気持ちを共有するには、相手の脳にA10神経群を発火させる情報を与える必要があります。もちろん、情報を発信する人のA10神経群が発火していない状態では、本人の思考が深まらないばかりか、相手の考える仕組みが活発に働くこともありません。


p.162

また、考えや心まで共有するとなれば、自己報酬神経群も同期発火することが必要です。つまり、意思疎通を図ろうとする人たちの間で、「脳にとってのごほうび=脳がうれしいと感じること」が一致していなければならないのです。


p.163

自分の気持ちがなかなか相手に伝わらないという方は、A10神経群で生まれた感情がしっかり表面に出せているかをチェックしましょう。
たんたんと言いたいことだけを言っても、気持ちはなかなか伝わりません。感情を込めて話さなければ、相手のA10神経群を発火させることはできないのです。


p.164

ちなみに、相手の脳に同期発火を起こすには、一つコツがあります。それは、相手のリズムに合わせて話すことです。
私は講演の際、会場で聞いてくださる方の様子を見て、相槌を売っている人の反応と間合いに合わせて話すようにしています。


p.165

人間の脳は、「統一・一貫性」と「自己保存」のクセのため、自分の立場に固執しやすい傾向があります。「相手の立場に立つ」という力は、「仲間になりたい」という本能を磨くことによって、その礎の上に成り立つもの。つまり、相手の立場に立つ力は、「もって生まれるもの」ではなく、「鍛えることでしか身につけられないもの」なのです。