お金に頼らずかしこく生きる 買わない習慣 [book]

お金に頼らずかしこく生きる 買わない習慣

お金に頼らずかしこく生きる 買わない習慣

ムダなモノを買うのをやめようという内容です。
一見すると節約本に見えますが、考え方はむしろ逆です。
節約も、買わない習慣も、お金がかからないようにする点では同じですが、本書の考え方ではムダなモノを買わないので、その支出はゼロになります。
一方、自分の生活を質的に豊にかにしてくれるもの、ほんとうに欲しいものを手に入れるのが質の高い暮らしである、と書かれています。

要するに、買わない習慣とは、コンビニやディスカウントストアのお仕着せの商品やサービスを受け入れるのをやめ、自分の考える楽しい暮らしを取り戻そう、という啓蒙書です。

以下、読書メモ。

pp.9-10

「買わない習慣」といっても、買うことすべてを否定するのではありません。ただ、せっかく自分の大切な人生の時間と引き換えに手に入れたお金を、「皆が持っているから」「何となく欲しいから」といった理由でつまらないモノと取り替える(買う)のを少し休んで、ほんとうに欲しいもの、自分の暮らしを豊かにしてくれるモノは何か、もう一度考えてみませんか?という提案です。


p.26

「将来が不安」→「お金を使いたくない」→「節約する」→「ストレスが溜まる」→「小さなムダ遣いをする」→「お金が貯まらない」→先頭に戻る


p.45

そこで、買わない習慣を始める前に、やっておきたいことがあります。
それは、「棚卸し」です。


pp.46-47

具体的には、
 * 洋服
 * 肌着、靴下
 * 食器
 * 調理器具
 * 食品(乾物、缶詰、レトルト食品など)
 * 消耗品(洗剤、トイレットペーパー、ティッシュ、ラップ類)
 * 文房具


p.48

この棚卸しをした上で、買わない暮らしで買わないものとは、何でしょう?
それは、「つまらないモノ」です。
「つまらないモノ」というのは、「あなたの暮らしにとってつまらない」「あなたの暮らしを豊かにしてくれない」という意味です。


p.51

さらに、モノではないので忘れてしまいがちですが、形のない商品、「サービス」や「娯楽」も、私たちが買う対象のひとつです。


p.72

「買わない」ために狭くなった世界の中で、楽しく暮らすためには、解像度を上げるしかありません。
少ないものしか持て(持た)ないならば、その少ないものとよく向き合い、特徴を知り、それを最大限に生かす方法を考えます。その日の空の色、雲の形、月の動きや植物の成長といった、自然や季節の変化に目を凝らし、耳を澄まします。その日であった名も知らぬ人との会話、家族とのふれあいなど、身の回りのささやかな喜びに目を向けます。


p.73

しかし、どうやったら解像度を上げることができるか。
いちばん簡単なのは、スピードを落とすことです。


pp.76-77

そもそも、「質の高い暮らし」とは、「たくさんのモノを持つ暮らし」でも「高級品だけを使う暮らし」でもありません。
 * ほんとうに必要なモノはきちんと手に入り、暮らしにいらないモノがない
 * 心と体が健康である
 * ヒマをもてあますことも、時間に追われることもない


p.90

外食そのもののコストが高いのは言うまでもありませんが、問題は、外食がちな生活を送る=暮らしの基本である「食」をお金で買う習慣がある、ということのようです。


p.119

その場にいながら遙か無限の彼方を見つめるためのツールとは何でしょうか。それは、文学や音楽、美術といった美しいもの=芸術です。


p.122

暮らしの中に自然を取り入れることは、買わない暮らしにとって、非常に大切なことです。
なぜなら、ひとつには、自然が「お金」という尺度を無意味化する存在だからです。


p.158

つまらない買い物で、せっかくのお金(という買い物の機会)をムダにしないためには、常に「買いたいもの、買っていいモノ」をイメージしておくことが大切です。


p.164

おしゃれな人に尋ねると、おしゃれの最大のポイントとは、流行のデザインではなく、「自分にぴったりあったサイズであること」だそうです。


p.194

45ページでも述べましたが、買わない暮らしとは、何も買わない暮らしではありません。「つまらないモノを買わない暮らし」なのです。ただ単に、何が何でもお金を使わないために買わないとか、買わないこと自体が目的なのではなく、ほんとうに必要なモノ、ほんとうに買う価値があるモノを買うために、買わない。


p.196

今までお金を払って外に投げ出していた「暮らす技術」「生きる技術」を、「買わない」ことによって、自分の中に取り戻す、そういうことができるのではないでしょうか。


p.198

「取り戻す」とは、世界を自分のためにカスタマイズする力を取り戻すことです。世界を自分のために編集し直すことです。どこにも売っていない自分の暮らしと人生を、自分で作り上げることです。
だって、そうじゃないと、いつまでたっても「コンビニが作ったおにぎり」「旅行会社が作ったツアープラン」「ディスカウントストアが用意した(”あなたの生活なんて、こんなもんでしょ”といった)生活用品」、そんなものしか手に入らないし、「彼ら」が用意した狭苦しい世界に、自分を無理矢理押し込めて生きていかなければならない。そんなの、つまらなくないですか?