佐藤可士和の超整理術 [book]
タイトルは「整理術」ですが、書かれているのは書類や PC のデータの整理の方法ではなく (それについても記述はあるが、) 思考をどのように整理し、物事の本質をとらえるかがメインのテーマだと感じました。
整理のノウハウの期待するのではなく、思考法の本として読むと楽しめると思います。
本書では、佐藤さんのこれまでのプロジェクトを例として多く取り上げています。
どのような思考法で彼の作品が生まれてきたのかが解説してあるので、彼の作品に共感を覚える人には分かりやすい例となっているのではないでしょうか。
以下、読書メモ
p.116
情報をどう整理するかによって、相手に伝わる精度は格段に違ってきます。その際にいちばん大切なのが、自分なりの視点を持ち込んできっちり筋を通すこと。大切な情報をしっかり見極め、情報同士の因果関係をクリアにしていくことで、進むべき道が見えてくるのです。つまり、情報の整理とは、視点を導入して問題の本質に迫ることで、真の問題解決を行うためのものなのです。
p.121
しっかりとした家を建てるためにいちばん大切なもの。それは、"ビジョン" です。ビジョンとは、クライアントが真に到達したいと望んでいること。それはまた、クライアントが潜在的に秘めているものでもあり、"あるべき姿" といってもいい。
p.122
ビジョンを探るために不可欠なのが、"視点" を持ち込むことです。情報を整理していく際に、どういう視点で捉えるかによって、結果は全く違ってきます。
pp.125-126
本質を探るということは、一見、物事の奥深くに入りこんでいくようなイメージがあるでしょう。でも実は、どんどん引いて離れていくことだと思うのです。客観的に見つめてこそ、今まで気づかなかった真実や大事なエッセンスを発見することができる。
p.216
"整理をすること" と "問題解決" は、別ものだと思っていた人も多いのではないでしょうか。そんなことはないのです。「整理と問題解決は、同じベクトルでつながっている」ということが、各章の内容から感じてもらえたと思います。"問題解決" は、"あるべき姿を見つけること" と置き換えてもいい。あるべき姿を見つけるひとつの方法として、整理術があるのです。
p.217
ないものねだりをするのではなく、まずは現時点で材料としてあるものをうまく並べ替えてみることです。新しいものをゼロから生み出そうとするのではなく、自分の前の物を的確な視点で組み替えることで、見違えるほど精度が上がるのです。