フリーエージェント社会の到来 「雇われない生き方」は何を変えるか [book]
フリーエージェント社会の到来 「雇われない生き方」は何を変えるか / ダニエル ピンク (著), Daniel H. Pink (原著), 池村 千秋 (翻訳), 玄田 有史
フリーエージェント社会の現状と未来の展望について、具体的な例を挙げならが説明してあります。
広い視野で、さまざまな事柄についてフリーエージェント社会を解説しているので、到来するフリーエージェント社会を眺望するのにお薦めです。
そこで、
一番面白いと感じたのは、これ。
これまで私たちは、仕事と家庭の境界線をはっきりさせなくてはならないと思い込んできた。しかし実は、仕事と家庭の境界線などというものは、毎日の通勤と同様、二十世紀になるまで必要とされていなかった。(p.223)
「ワーク・ライフ・バランス」という言葉がはやっているが、そもそもバランスをとろうとするのではなく、「ブレンド」してしまうという考え方。
ただ、「ブレンド」するためには、フリーエージェント流のやり方をやっていかないと。
古いやり方は、月曜から金曜まで 5 日働いて、土曜と日曜は休むというものだった。これに対してフリーエージェント流は、月曜から日曜までの 7 日間に、仕事もするし、休みも取るのだ。(pp.135-136)
以下、読書メモ。
p.14
特定のプロジェクトごとに、俳優や監督、脚本家、アニメーター、大道具係などの人材や小さな会社が集まる。プロジェクトが完了すると、チームは解散する。その都度、メンバーは新しい技能を身につけ、新しいコネを手に入れ、既存の人脈を強化し、業界での自らの評価を高め、履歴書に書き込む項目をひとつ増やすのだ。
p.55
しかし、状況は、再び産業革命前に戻ろうとしている。知識経済の生産手段は、小型で安価、操作も容易で、あまねく普及している。
p.185
フリーエージェントの OS も、互恵主義を基本的な特徴としている。これは要するに、「あなたがいつか力になってくれると思うから、いまあなたの力になろう」という発想である。こうした互恵主義の考え方は、私たちの DNA に刷り込まれている。「私たちが人類に進化したのは、ご先祖様が義理というネットワークを大切にして、食べ物と技術を分け合うようになったからだ」と、生物学者のリチャード・リーキーは述べている。進化生物学者によれば、ほとんどの動物は「互恵的な利他主義」のおかげで生き残っている面があるという。
p.186
「与えた者が得る」という原則は、進化の法則にかなったものなのだ。
p.223
これまで私たちは、仕事と家庭の境界線をはっきりさせなくてはならないと思い込んできた。しかし実は、仕事と家庭の境界線などというものは、毎日の通勤と同様、二十世紀になるまで必要とされていなかった。