「黄金の羽根」を手に入れる自由と奴隷の人生設計 [book]
「黄金の羽根」を手に入れる自由と奴隷の人生設計 / 橘 玲 (著), 海外投資を楽しむ会 (著)
橘の黄金の羽根シリーズの文庫版第 2 弾です。
PART1 については、サラリーマンの税金、保険料などについて。
税金に付いてはある程度控除されているが、保険料で搾取されているというお話。
p.25
たいていのサラリーマンの所得税率は、10% か 20% に収まるはずです。「給料の 10% を税金としてもっていかれる」と考えるとショックかもしれませんが、鈴木さんの所得税額 30 万円を年収 800 万円と比較すれば実質税率は約 4% で、べつに "酷税" でもなんでもありません。これに地方税・住民税 (東京都の場合は約 20 万円) を加えたとしても約 50 万円 (実質税率 6.25%) ですから、「日本の課税水準は世界的に見ても低い」という財政当局の主張にも一理あります。
p.36
先に登場した鈴木一郎さんの場合、年収 800 万円に対する厚生年金の保険料は 13.58% ですから、年間の支払総額はなんと 108 万 6400 円 (!) にもなります。それに対して自営業者などが加入する国民年金の掛金は一人月額 1 万 3300 円 (年額 15 万 9600 円)、夫婦で月額 2 万 6600 円 (年額 31 万 9200 円) ですから、一郎さんの支払額は 3 倍以上。
p.37
同様に、鈴木さんが加入する医療関係の保険料を法廷上限保険料率の 9.31% (健康保険 8.2% + 介護保険 1.11%) とすると、年間支払総額は 74 万 4800 円。これに加えて、年間約 8 万円の雇用保険料も納めなければなりません。これらを厚生年金の 108 万円余と合わせると、平均的なサラリーマンである一郎さんが支払う社会保障費の合計額はなんと 190 万円 (!!) を超えてしまいます (健康保険・介護保険・雇用保険料は標準報酬月額によって算定されるため、ここで述べた試算とは多少の誤差が生じます)。こうした社会保障費は労使折半ですから、直接、給与から引かれるのは 95 万円。所得税 + 住民税の 50 万円と合わせて、約 145 万円がお上に召し上げられ、800 万円の年収は手取り 655 万円程度になってしまいます。年収に占める税・社会保障費のコストは実質 18% にハネ上がります。
これは制度なので、サラリーマンをやめる以外に回避のしようがありません。
しかし、サラリーマンをやめてサラリーマン時代と同じだけ稼げる能力があるかというのが一番難しいところ。
また、「4.だれでも億万長者になれる魔法の法則」は
p.72
1. より多くの収入を稼ぎ、
2. より少ない支出で生活し、
3. より高い利回りで資産を運用する。
といった内容。
「PART2 ファイナンス編」は、金融業がどのような仕組みになっていて、どのように借金すれば損しないかといった内容です。
本書は「黄金の羽根」シリーズのなかでも一番実用度が低いと思います。