「残業ゼロ」の仕事力 [book]

「残業ゼロ」の仕事力 / 吉越 浩一郎 (著)

「残業ゼロ」の仕事力

仕事を効率化し、残業をなくすキーはデッドラインの設定です。

多少強引なやり方でも、信念を持って残業を禁止し、限られた勤務時間の中でデッドラインが決められた仕事を片付けるよう社員を追い込むことで効率を上げるというヘビーな内容です。

この方法をコピーして同じように行うというのはかなり難しいと思います。
しかし、その内容には参考にできる点が多々あると思います。


その他、フォロワーシップや TTP(徹底的にパクる)といった考え方の Tips や、1 案件を 2 分でこなす早朝会議の内容についても書かれています。

「残業ゼロ」とはいかないまでも、仕事を効率化するうえで、非常に参考になる内容です。


以下、読書メモ。

p.26

それでは、どうすれば残業をなくすことができるのでしょうか。
細かい部分はあとからお話しますが、まずは、仕事のデッドラインを決め、それを社内で徹底させることからはじめます。


pp.28-29

以前、ある女性経営者から、「吉越さんの公演を聞いて『ノー残業デー』を導入しようとしたら、仕事が回らないからやめてくれ、という反対の声が日に日に高まってどうにもならなくなってしまった、どうしたらいいのでしょう」というメールをいただきました。それに対する私の返事はこうです。
「社長が『ノー残業デー』を導入するといったら導入するのです。以上、終わり」
そんなもの、時間がきたら有無をいわさず、オフィスの電気を消してしまえばいいじゃないですか。さらに、違反した社員や部署には罰金を課す。残業が発覚するたびに反省会を開き、なぜ就業時間内で終わらなかったのか、誰が聞いても納得する答えが見つかるまで追及の手を緩めない。
社員の誰もが、「こんな思いをするくらいなら残業なんてしないほうがマシだ」という気持ちになれば、自然と残業はなくなります。


p.45

天才ではない私は、どうやって問題に立ち向かえばいいのでしょう。そう、大きな問題を分けて小さくするのです。

大きすぎてどこから手をつけたらいいかわからない問題に遭遇したら、まずは絡んでいる鎖をほどくところから始めてください。そして、どんどん小さい問題に細分化していく。そうしているうちに、「これなら自分でもなんとかできる」というサイズになります。そうしたら、それらを一つひとつ解決していきます。


p.51

本当に仕事の効率を上げたいのなら、厳しいデッドラインつきの仕事を、これでもかというくらい押し込めばいいんです。それで、一分一秒も惜しいという状況に追い込まれれば、自然と仕事の処理速度が速くなる。こうやって、早く仕事ができる人間になるほうが、優先順位をああだこうだと考えるより、よっぽど確実に仕事をこなせると思っています。


p.54

デッドラインを決める際、気をつけなければならないのは、相手の顔色を見て、「これくらいならできるだろう」という配慮をしないことです。そうではなく、あくまで「会社に取って正しいことを優先する」、これがデッドラインの決め方の極意です。


p.72

私のいう「完璧なたたき台」とは、現状はどうなっているのか、何が問題なのか、どう対処すべきなのか、それにはどれくらいの時間や費用がかかるのか……、そういうことを担当者が会議に先立ち整理して解決策をまとめてくる、ということです。


pp.72-73

結論は担当者がたたき台として用意してくる。会議はそれをいいかどうか判断するだけの場なのです。


p.73

では、情報が足りなかったり、質問に対して担当者が理路整然と答えることができなかったりしたらどうするか。それは課題に対する詰めがまだ甘い、ということですから、そんな状態で長々と議論をしても仕方ありません。そういう場合は足りない部分を指摘して、さらに「誰が」「なにを」「いつまでに」ということをみんなの前で明確にしたうえで、さっさと担当者に差し戻します。


p.81

そして、もう一つ大事なのが、会議を「デッドライン」を決める場にするということです。


p.96

自慢じゃありませんが、私はオリジナルに対するこだわりもなければ、他社の事例をまねることにもまったく抵抗がありません。真似だろうがなんだろうが、それが自分の会社にとって役に立つことなら、どんどん取り入れるべきなのです。ちなみに、私はこの考え方を「TTP(徹底的にパクる)」と名づけて、今でも仕事の信条の一つにしています。


p.112

大切なことは毎日の仕事を終えたあとの 3 時間あまりを、「自分の人生のために投資する」、と考えることです。


p.149

日本のホワイトカラーはポジションによって役割は一応規定されているものの、一人ひとりの仕事の範囲や責任はきわめて曖昧なのが現状です。だから、誰がどの作業の効率をどれだけ上げれば全体のスピードがこれだけ速くなる、といった具体的な計測がまったくできないのです。かといって、工場のように社員が整然と一つのラインに並んで仕事をするわけにもいきません。

ここでも、威力を発揮するのはデッドラインです。仕事を個人単位に割り振り、デッドラインをつけて厳しく管理する。こうすると、誰がボトルネックになっているかは一目瞭然です。