株・FX・投信・副業のための確定申告の書き方 平成21年3月16日締切分 [book]
株・FX・投信・副業のための確定申告の書き方 平成21年3月16日締切分 / 中経出版確定申告プロジェクト (著), 落合 孝裕
確定申告ガイド本はいろいろ出ていますが、本書は住宅購入やアフィリエイトの副収入などは省き、主に株、FX、投信といった投資関係に特化しています。
そのため、他の確定申告本が「広く浅く」であるのとは異なって、投資分野での確定申告について「狭く深く」解説してあります。
税制の説明からさまざまなケースの申告書の具体的な書き方例まで、税金の話は難しいのですが、じっくり読むとよくわかります。
個人的には、特定口座と一般口座の違い、外国税額控除を受けると不利になることもある、などを知ることができ、とてもためになりました。
最近一般的になってきた ETF, FX, REIT や外貨 MMF, 海外ETF, 外国債券などの解説もあり、おすすめです。
あと、この本を読んで知ったのですが、中経出版はネット書籍サービスというウェブサービスを行っていて、購入した書籍をネット上で読むことができます。
Google ブックや Amazon なか見!検索よりも使いやすく便利です。
以下、読書メモ。
p.8
* 税金を納める申告の場合 => 2009年 (平成21年) 2月16日(月曜日)〜3月16日(月曜日)まで
* 税金を返してもらう申告 (還付申告) の場合 => 2009年 (平成21年) 2月16日の前でも提出可能 (1月1日以降)申告のために必要な書類が手に入る時期…取っておくようにしましょう
* 2008年 (平成20年) の年末ごろ => 給与所得者の源泉徴収票 … 給与所得の申告に必要
* 2008年 (平成20年) の取引の都度 => 株式の「取引報告書」 … 「一般口座」の申告に必要
* 2009年 (平成21年) の1月末まで => 特定口座年間取引報告書 … 「特定口座」の申告に必要
* 2009年 (平成21年) の1月ごろ => 公的年金等の源泉徴収票 … 年金収入者の申告に必要
* 2009年 (平成21年) の1月中旬ごろ => 申告用紙 … 税務署に備えつけられる
p.31
* 譲渡所得グループ (分離課税) このグループ内で損益通算が可能 => 損益通算をしても損失が引ききれずに残った場合には3年間の繰越控除ができます (未上場株式を除く)
* 上場株式
* 信用取引
* 上場外国株式
* 株式投資信託 (買取りの場合)
* ETF (上場株式投資信託)
* REIT (上場不動産投資信託)
* 未上場株式
* 雑所得グループ (分離課税) このグループ内で損益通算が可能 => 損益通算をしても損失が引ききれずに残った場合には3年間の繰越控除ができます
* FX取引 (くりっく365)
* 日経225mini (日経平均先物)
* 商品先物取引
* オプション取引
* 雑所得グループ (総合課税) このグループ内で損益通算が可能 … 3年間の繰越控除は認められていません
* FX取引 (くりっく365 以外の相対取引)
* 金・プラチナの定期積立による所得 (ケースによる)
* 外貨預金の為替差益 (差損については他の所得との損益通算はできません)
* 年金収入による所得
* 原稿料・講演料収入などによる所得 など
* 譲渡所得グループ (総合課税) このグループ内で損益通算が可能 … 3年間の繰越控除は認められていません
* 金・プラチナの売却による損失
* 給与所得
* 配当所得
* 不動産所得
* 事業所得
* 一時所得
* 雑所得
p.56
一般口座
メリット
* 「みなし所得費の特例」が使える
* 売却益から税金が引かれないので、その分を再投資に回せる
* 売却益が 20万円以下 (正確な条件は本文参照) のサラリーマンは申告不要
デメリット
* 譲渡所得の計算が必要 (面倒)
特定口座 (源泉徴収なし)
メリット
* 申告が簡単 (譲渡所得の計算不要)
* 売却益から税金が引かれないので、その分を再投資に回せる
* 売却益が 20万円以下 (正確な条件は本文参照) のサラリーマンは申告不要
デメリット
* 「みなし所得費の特例」が使えない
特定口座 (源泉徴収あり)
メリット
* 申告が不要
* 申告が不要なため、株式の売却益による譲渡所得が合計所得に加算されない→扶養控除・配偶者控除などの対象者からはずれずにすむ
デメリット
* 「みなし所得費の特例」が使えない
p.122
外国株式の配当や海外 ETF の収益分配金は、外国で配当収入から外国所得税を天引き (たとえばドルベースで) されたあと、その残高について国内で源泉徴収 (円ベースで) されることになっています。つまり、外国と日本の双方で税金が課税される形です。
外国の源泉徴収税率は国により異なりますが、租税条約を締結している場所は、通常、その条約に定める制限税率の範囲内で税金が天引きされます (源泉徴収税率は 15% の国が多い)。日米間では 10%、中国の場合には、中国国内では課税されません。
外国株式の配当や海外 ETF の収益分配金を申告する場合、「配当控除」を適用することはできません。そのかわり、外国で源泉徴収された税金については、「外国税額控除」を受けて全部または一部を取り戻せる可能性があります。
ただし、配当所得は総合課税の対象であるため、「外国税額控除」を受けようとして申告をすると、かえって納税額が増える可能性があります。たとえば、アメリカ株式の配当金は源泉徴収税率が 10% であるため、課税総所得が 195万円超の人は申告をすると不利になります。気をつけましょう。