デジタルネイティブが世界を変える [book]
デジタルネイティブが世界を変える / ドン・タプスコット (著), 栗原 潔 (翻訳)
「デジタルネイティブ」と呼ばれるネット世代の考え方や行動を統計を取り、分析しています。
そして、今後どのような世界になっていくのか、を示唆しています。
「デジタルネイティブ」が強調されていますが、内容としては、ネット世代でなくてもネットを使いこなしている人々にも当てはまるものかと思います。
ただ、「ネイティブ」であるかどうかは、本書で紹介されている 8つの行動基準を無意識に持っているかどうか、によるものだ思います。
pp.107-108
私の子供たち、そして、我々が調査対象とした三〇〇人の若者との経験を通じて、私はこれらの若者たちがその両親とはまったく異なっていると結論づけた。これらの相違点をネット世代の「行動基準」と呼びたい。つまり、若者たちに特徴的な姿勢と行動だ。これらの特性は、今の若者たちの両親であるベビーブーム世代など他の世代とは明確に異なっている。こうした行動基準は世界中のネット世代六千人に対する調査から明らかになったものだ。
八つの行動基準とは 1 自由 2 カスタム化 3 調査能力 4 誠実性 5 コラボレーション 6 エンターテイメント 7 スピード 8 イノベーション、である。
pp.142-143
本章で挙げたこれらの項目がネット世代の八つの行動基準だ。ネット世代は自由を評価する。自分がなりたい人物になり、選択の自由があることを評価する。あらゆるもの、たとえば、自分の職業すらもカスタマイズしたがる。懐疑的になることを学んでおり、メディア (インターネットも含めて) で見聞きしたあらゆるものを精査しようとしている。ネット世代は誠実性を評価する。正直であり、思いやりがあり、透明性が高く、自らの信念に背かないことを評価する。職場においても、そして、友人との間でもコラボレーションを得意とする。そして、イノベーションを行うことを好む。これがネット世代だ。
このような行動基準を持った「デジタルネイティブ」が学校に入ってきたとき、教育現場は変わらなければならない。
このような世代が職場に入ってきたとき、人材管理は変わらなければならない。
そして、このような世代が選挙権を持ったとき、政治も変わらざるを得ないだろう、という提言がなされています。
一方、「デジタルネイティブ」には 1つ、プライバシーについて警告がなされています。
Facebook などでプライバシーをさらけ出していると、将来、例えば就職なので困ることになるかもしれない、という警告です。
以下、読書メモ。
p.11
八つの特性、いわば、行動基準がネット世代の特徴となっており、親の世代であるベビーブーム世代との相違点となっている。ネット世代は、自由、特に選択の自由を尊重する。ものをカスタマイズすることを好み、自分だけのものにしたがる。生まれながらにして協業が得意であり、一方的な講義よりも対話を好む。他人や企業を綿密に調査し、誠実さを何よりも重視する。学校でも職場でもおもしろさを求める。スピードが大前提であり、イノベーションは生活の一部である。
p.55
ネット世代はバラク・オバマを大統領選の民主党候補として支援し、政治の世界に入り込むことになった。ネット世代による選挙活動の経験は大統領選の日で終わるものではないと、私は考えている。ネット世代が政治や行政において受動的な役割に留まることはないだろう。すでに、ネット世代は政治団体に対して自分たちを関与させるよう要求している。行政のあり方についても変化を要求するだろう。ネット世代はホテルのチェックインやレンタカーの貸し出しが三〇秒でできるのを知っている。であれば、なぜ行政サービスも同じようにできないのかと考えるだろう。
pp.81-82
エンジェネラのエグゼクティブディレクターであるアラン・メジャーは次のように述べている。「人は新しいものを古い枠組みで考える傾向がある。たとえば、自動車が登場した時、人々はそれを『馬なし馬車』と考えた。運転手が乗客と同じ室内にいてもよいということはその時点ではただちに明らかにはならなかった。
pp.107-108
私の子供たち、そして、我々が調査対象とした三〇〇人の若者との経験を通じて、私はこれらの若者たちがその両親とはまったく異なっていると結論づけた。これらの相違点をネット世代の「行動基準」と呼びたい。つまり、若者たちに特徴的な姿勢と行動だ。これらの特性は、今の若者たちの両親であるベビーブーム世代など他の世代とは明確に異なっている。こうした行動基準は世界中のネット世代六千人に対する調査から明らかになったものだ。
八つの行動基準とは 1 自由 2 カスタム化 3 調査能力 4 誠実性 5 コラボレーション 6 エンターテイメント 7 スピード 8 イノベーション、である。
pp.142-143
本章で挙げたこれらの項目がネット世代の八つの行動基準だ。ネット世代は自由を評価する。自分がなりたい人物になり、選択の自由があることを評価する。あらゆるもの、たとえば、自分の職業すらもカスタマイズしたがる。懐疑的になることを学んでおり、メディア (インターネットも含めて) で見聞きしたあらゆるものを精査しようとしている。ネット世代は誠実性を評価する。正直であり、思いやりがあり、透明性が高く、自らの信念に背かないことを評価する。職場においても、そして、友人との間でもコラボレーションを得意とする。そして、イノベーションを行うことを好む。これがネット世代だ。
p.340
今では、およそ半数が、子供たちにポルノ、暴力、犯罪など不適切なコンテンツを見せないように、親の信条に沿ってカスタマイズされたフィルタリングソフトを使っている。これにより、両親は子供たちの他の行動も追跡できる。つまり子供の活動を盗み見することも可能になる。これは私には恐ろしいことのように感じられる。ティーンエイジャーにとってこのようなツールを使われるということは、「お前のことは信用していない」とはっきり言われることと何ら変わりはない。
p.349
新しいネット世代の家庭では、インターネット上の活動を制限せず、インターネットで見つけたものやその意味について隠し立てすることなく親と話す。その舞台となるのは、昔からある伝統的な家族の食卓だ。両親はただ話すだけでなく耳を傾ける。両親は、自分や子供がインターネットで見つけ出した新しいアイデアに心を開き、興味を持つ。検閲や盗み見や命令をするかわりに、話し合い、説明し、共通の視点を築き上げる両親は、昨今のビジネス誌で賞賛を集める模範的なCEOに似ている。オープンファミリーは、学習し、適応し、進化している。