大人の投資入門 真剣に将来を考える人だけに教える「自力年金運用法」 [book]

大人の投資入門 真剣に将来を考える人だけに教える「自力年金運用法」 / 北村 慶 (著)

大人の投資入門 真剣に将来を考える人だけに教える「自力年金運用法」

「ポートフォリオ」について入門書を読んで何となく知っていましたが、本書ではより 1 歩踏み込んでポートフォリオ運用について知ることができました。
個人的には、「ボラティリティ」という考え方を知ることができてよかったです。

最近は年金危機が叫ばれていますが、本書は、
p.56

本書でお薦めする『私的年金』は、公的年金を補完するもの、という位置づけです。

つまり、公的年金と必要資金の差額である『年金ギャップ』を埋めるために、『私的年金』を作ろう、ということを本書で提案しているのです。


p.140

ここで、この『公的年金』のアセット・アロケーションを (A) とします。
さて、私たち普通の市民の年金は、『公的年金』 + 『私的年金』から成り立ちます。
そして、その合計のポートフォリオが理想の資産配分になっていることが望ましいわけです。
ここで、『私的年金』のアセット・アロケーションを (B) とし、年金全体のアセット・アロケーションを (C) とすると、以下のような等式が成り立ちます。

(A)『公的年金』+ (B)『私的年金』 = (C)私たちの年金全体


という立場です。
しかし、公的年金を信用する/しないにかかわらず、各個人が自分の考えるアセット・アロケーションでポートフォリオ運用を行えるような内容となっています。

以下、読書メモ。

p.72

運用の世界では、このバラツキが激しいことを「ボラティリティが大きい」と言い、「標準偏差」という数字で表します。学生時代に慣れ親しんだ「偏差値」の親類です。
投資理論では、この「標準偏差」を「リスク」と呼ぶのですが、一般名詞のリスクと紛らわしいため、本書では「ボラティリティ (投資収益のブレ)」と呼ぶこととします。


p.107

実は、欧米では、資産運用を考える場合、年金基金などの機関投資家でも個人でも、当然のように、アセット・アロケーション (資産配分) が重視されます。
この背景には、MPT (モダン・ポートフォリオ・セオリー) と呼ばれる現代の投資理論の存在があります。

―資産運用において、もっとも大事なことは、ポートフォリオをどう組むかである。

―ポートフォリオの組み方としては、その値動きが相互にあまり関係しないアセット (資産) クラスを組み合わせることが、運用成績を安定的にする秘訣である。


p.114

つまり、「ポートフォリオ」のリターンは、和で計算できるのです。
一方、この「ポートフォリオ」のボラティリティ (投資収益のブレ) はどうなるのでしょうか。
〜略〜
つまり、「国内債券」と「外国株式」の 2 つの資産からなるポートフォリオのボラティリティは、おのおのの資産のボラティリティの単純な合計よりも少なくなるのです。


pp.143-144

一般に、株式などリスク性資産への投資比率は、「100マイナス自分の年齢」とすべし、という考え方もアメリカでは広く流布しています。
すなわち、「100マイナス自分の年齢」を、リスク性商品、すなわち預貯金や国債以外の投資商品へ回せる割合と考え、あなたが 30 歳であれば 70% を、55 歳であれば 45% を投資商品で運用するわけです。