自己資産は自分で守りなさい [book]
ほとんどが、投資や国際分散投資についての啓蒙です。
期待していた国際分散投資の実践的な内容については「第七章 国際分散投資の実践方法」の24ページだけで、残念でした。
しかし、具体的な海外の銀行や証券会社が紹介されていて、国際分散投資の足がかりにはなります。
以下、読書メモ。
p.62
投資をするのが楽しくなると同時に、できるだけ投資に資金を繰り入れたくなり、今までのお金の使い方を見直して、無駄を極力減らすようになりました。
p.129
中・長期の投資では、上がった、下がったという値動きよりも、もっと重視していることがあります。それは「投資をした時点で想定した値動きの幅の中に入っているかどうか」です。
p.131
つまり、国際分散投資においては、損切りではなく、投資を始める時点での想定と違った結果が出たときに手仕舞いをします。
損失が出ているときに手仕舞えば、かたち上は損切りしたのと同じことですが、損失が出たから手仕舞いしたのではなく、投資をした時点での想定と違った結果になったから手仕舞いするのです。
だからこそ、投資をする時点で、これからの値動きをいくつかのケースを想定しておくことが求められます。
p.141
その中で信頼性があるといえるのが、「ロイター」のサイト情報です。ロイターは世界の金融機関等に金融情報を提供している会社です。ロイターの情報なら、情報を選別させていないというインターネット上の利点を持ちつつも、情報の信頼性は高いです。
p.142
一番のお勧めは、アメリカの「ヤフーファイナンス」のサイトです。アメリカのヤフーファイナンスでは、アメリカだけでなく世界各国の株式情報が入手できます。
p.149
特にこだわりがないなら、「HSBC香港」か「シティバンク香港」をお勧めします。アジアの金融センターである「香港の銀行」に口座を開設するのです。どちらの銀行も、窓口に行かなくても必要な書類を送付すれば口座を開設できます。
pp.152-153
アメリカの証券会社なら、イートレード証券とファーストレード証券、香港ならBOOM証券とKGI証券。なお、KGI証券には日本語を話せる担当者がいます。
これらの証券会社は、日本人が口座を開設するのが簡単で、株式やファンドの売買がインターネットを通じて行える証券会社です。
p.154
シティバンク銀行なら、振込先を登録すればネットバンキングで日本の銀行口座に振り込みをするのと同じ感覚で海外送金ができます。
ずっとやりたかったことを、やりなさい。 [book]
ずっとやりたかったことを、やりなさい。 / ジュリア キャメロン (著), Julia Cameron (原著), 菅 靖彦 (翻訳)
タイトルの訳がいまいちな気がしますが、原書タイトルは「The Artist's Way」です。
要するに、自分の内に秘めたアーティストがやりたいこと、昔やりたかったのに日々忙しく生活していく中で、忘れてしまったこと、あきらめてしまったことを、やってみませんか、という内容です。
確証には12週間で行う課題が設定されています。
そのベースになるのが、モーニング・ページとアーティスト・デートです。
モーニング・ページは朝に 3ページ自分の思いをそのまま書き綴っていくという作業です。
考えて書くのではなく、思いついたことをそのまま書いていきます。
アーティスト・デートは、週1回、2時間は自分の内なるアーティストとデートをしよう、言い換えると、自分の創造性を伸ばすようなインプットをしましょう、ということです。
ややスピリチュアルな感もありますが、モーニング・ページを試してみました。
初めは考えてしまい、3ページ書くのに50分くらいかかってしまいました。
朝の 50分を使うのはとてもヘビーですが、Amazon の評価がよいものばかりなので、しばらく試してみようと思います。
以下、読書メモ。
pp.25-26
モーニング・ページとはなんだろう?ひと言でいうなら、三ページほどの手書きの文章であり、意識の流れをありのままにつづったものだ。
ーーああ、また朝がきた。何も書くことがない。カーテンを洗わなくっちゃいけない。昨日、クリーニングに出した服を受け取ったっけ?くだらない……。
もっとくだけた言い方をするなら、それは「脳の排水」と呼んでもいいかもしれない。脳の中を掃除することが目的だからである。
モーニング・ページには間違った書き方というものはない。
p.28
モーニング・ページは文字どおり、私たちを向こう側に連れていってくれるのだ。私たちの恐怖や否定性、気分の向こう側である。私たちは、検閲官の戯言が届かないところに、自分自身の静かな中心を見出すのだ。
p.33
しかし、実際のところアーティスト・デートとはなんだろう?アーティスト・デートとは、あなた自身の創造的な心(それを本書では、内部のアーティストと呼ぶ)を育むために特別に確保される、週二時間ほどの時間のかたまりである。基本になるのはそのものずばり、デートだ。とはいっても、連れがいるわけではない。それは、あなたと内部のアーティスト、すなわち自分の内部にいる創造的な子どもとのデートなのだ。つまり、恋人も、友人も、伴侶も、子どもたちとも無縁だということである。
p.34
あなたの中のアーティストは子どもである。親と過ごす“時間”のほうが、費やされる”お金”よりも重要なのだ。大型雑貨店に行く、ビーチへのひとり旅、ひとりで見る古い映画、水族館やアートギャラリーに足を運ぶ……どれも時間がかかるがお金はそうかからない。大切なのは時間をかけることなのである。
p.100
その意味で、「楽にやる」ことが創造性を育む鍵になる。毎朝、三ページのモーニング・ページを書き、一日に一つ、自分自身にやさしいことをする。これを守れば、心が少しずつ軽くなっていくだろう。
ささいなことでいいから、具体的な方法で自分自身に親切にするよう、心がけてもらいたい。冷蔵庫やクロゼットを見てみよう。素敵な食事をしているだろうか?靴下は充分あるだろうか?余分なシーツは?新しい家の植物はどうだろう?古くなった服の一部を処分していたら?何もかもとっておく必要はないのだから。
p.106
たいていの人にとって、「大丈夫」は覆いをかける言葉だ。それはあらゆる種類の動揺に覆いをかけるが、その裏には喪失感が隠れている場合が多い。
p.130
ほとんどの人は、自分のやりたいことを断念することで、いい人間であろうとする。その結果、自らの創造性から離れてしまうが、「自分はいいことをしているのだ」という偽りの精神性を培っていく。これを私は善人の罠と呼んでいる。善人の罠は、自己否定の一つにすぎない。世間体を保ちたい、大人でありたいという衝動はアーティストをだめにし、終わらせることさえあるのだ。
p.154
私たちは何かをひねり出すことがアートだと考えるが、じつはそうではない。逆に、すでにあるものに触れ、それを原稿用紙や大理石といった素材に「降ろす」のがアートという行為なのだ。このことはアートについて考える場合、きわめて重要な意味をもっている。
何かをひねり出そうとするとき、私たちは自分の手の届かないところにあるものに手を伸ばそうと懸命になっている。一方、何かを「降ろそう」とするときには、努力も緊張もしない。私たちは何かをするのではなく、受け取るのだ。実際に手を下しているのは自分以外の人や物である。そんなとき、私たちは聞くことに専念する。
p.176
私が現在、メジャーの長編映画を任せられるまでになったのは、「なぜ私がこんな目にあわなきゃならないの?」ではなく、「次にどうしよう?」と自問しつづけてきたからにほかならない。
p.183
ほとんどの場合、「手順を踏む」ためにすべきことは、ほんのささいなことである。絵筆を洗う、画材店で粘土を買う、演技指導クラスの広告が載っていないかどうか地方紙をチェックする……。私の経験では、あなたの創造性を伸ばすためにとれる行動が、毎日、かならず一つはある。そうした日々のささやかな行動が手順を踏むことになるのだ。
p.185
詩人のセオドア・ローザックが書いているように、「私たちはどこに行かなければならないかを、行くことによって知る」。コツコツと手順を踏んでいくと、わざわざ大きな変化を生み出そうとする必要はないと分かってくる。大きな変化は、小さな変化の積み重ねによって自然に生じるからだ。
p.222
私たちはなによりも、今日は執筆がどれだけはかどったか、締め切りに間に合うように原稿を郵送したか、知り合いの輪を広げる努力をしたか、といったことをしっかり自分に確認しなければならい。ところが、他人との競争に心を奪われてしまうと、自分の足元が見えなくなってしまうのだ。挙げ句の果てに、自分が後れをとっている言い訳を探すようになる。
p.233
すぐれたアーティストかどうかは、初心に立ち戻る勇気をもっているかいないかで決まる。ある分野の巨匠と目されている私の友人は、あるとき何年も先の仕事までびっしりと埋まってしまっている状況に気づいた。彼は人のうらやむほどの高給を取っていたが、アーティストとしては決して好ましい状況ではないと思った。三年ごしのプロジェクトにしても、最初のころと同じような情熱で取り組めるか、正直言って自信がなかった。そこで、彼は損を覚悟で仕事を減らし、リスクは大きいがアーティストとしてためになる仕事に精を出しはじめた。もちろん私たちがみな、金のなる木を捨ててまで、自分の創造性に賭ける勇気を奮い起こせるかどうかはわからない。だが、努力することはできる。せめて、そうした心意気だけはもちたい。アーティストは旅人のようなものである。世俗的な価値観にどっぷりつかり、地位や身分にばかり心を奪われると、内的な導きにこたえることができない。
p.234
成功したアーティストにとって重要なのは、未来を抵当に入れないことである。大金が得られるから、二年間、あまり気乗りがしない仕事をするのは、かなり高い買い物だと肝に銘じておくべきだろう。
p.234
内なるアーティストを無視すると、その代償がすぐに外側の世界に現れる。創造行為が機械的になって生気を失い、創造が少しも楽しくなくなる。その結果、作品の魅力も失われ、経済的にも下降線をたどらざるをえない。
pp.245-246
私たちは、アイディアが植物のようにゆっくりと成長するのを見守ろうとせず、何かにつけていじりまわしたがる。だが、操作しようとすればするほど、本来の創造のプロセスから離れていく。創造は物事を操作することによってではなく、ありのままに物事を受け入れることによって可能になるのだ。
p.246
私は脚本の書き方を教えるクラスをもっているが、脚本の中盤で行き詰まった生徒がいると、なんでもいいから、家事をするようにすすめている。すると、たいていの生徒は、とまどい、なぜそんな平凡なことをしなければならないのかと腹を立てる。けれども、縫い物などはじつは、脚本の構想を練るのにうってつけなのだ。
私が生徒たちによくすすめるもう一つの趣味は、ガーデニングである。
お金の流れを呼び寄せる 頭のいいお金の使い方 [book]
お金の流れを呼び寄せる 頭のいいお金の使い方 / 午堂 登紀雄 (著)
骨子は、ケチらないでお金を使おう、ただし、無駄に使わず、生き金として使おう、自己投資を行おう、という内容です。
それぞれの項目については個人によって賛否両論ありそうですが、すべてを鵜呑みにするのではなく、気になったものから試してみてはいかがでしょうか。
以下、読書メモ。
p.31
「その出費は自分に何をもたらしてくれるのか」「自分はいったいどういう価値にお金を払っているのか」を面倒くさがらずにいちいち立ち止まって考えてみることが大切です。
p.67
自己投資を考える際は、モノよりも経験にお金を使うことを意識してみましょう。
歌舞伎や能を鑑賞して日本の文化を感じる、高級ホテルに宿泊して一流の接客を受ける、茶道や華道を習って守・破・離の教えを体感する、ダンスや演技を習って体で感情を表現することを学ぶ、格闘技などのような極限まで体を酷使するスポーツを体験してみる、休暇を利用して短期留学をしたり、海外をヒッチハイクで放浪したり……、自分が経験して、そこから何かを感じるかに意識を向けてみるのです。
p.115
お金を儲けるのはそう難しくはありません。先に相手を儲けさせてあげればいいのです。
p.116
報酬というのはあくまで、「相手に喜んでもらった対価としてあとからついてくるもの」です。
p.197
感動は魂のごちそうともいわれ、脳に最も刺激を与えるのだそうです。それが脳を活性化させ、新しいアイデアやスケールの大きな発想につながるのであれば、感動をもたらしてくれるものにお金を使おうと意識してみたいものです。
2009 年 9 月に読んだ本 [book]
今月は 5 冊読みました。
* 会社を辞めずに年収を倍にする! ノーリスクな副業・起業・独立のためのパーフェクトガイド / 藤井 孝一 (著)
ref.[2009-09-30-1]
* あたりまえだけどなかなかできない 33歳からのルール / 小倉 広 (著)
ref.[2009-09-28-1]
* ハイ・コンセプト「新しいこと」を考え出す人の時代 / ダニエル・ピンク (著), 大前 研一 (翻訳)
ref.[2009-09-18-1]
ref.[2009-09-11-2]
* さあ、才能(じぶん)に目覚めよう あなたの5つの強みを見出し、活かす / マーカス バッキンガム (著), ドナルド・O. クリフトン (著), 田口 俊樹 (翻訳)
ref.[2009-09-06-1]
会社を辞めずに年収を倍にする! ノーリスクな副業・起業・独立のためのパーフェクトガイド [book]
会社を辞めずに年収を倍にする! ノーリスクな副業・起業・独立のためのパーフェクトガイド / 藤井 孝一 (著)
Q&A 形式で、副業・起業・独立のための Tips が書かれています。
無理矢理作った Q ではなく、また内容も具体的なため、分かりやすく、ためになります。
ベースは、著者が以前から提唱している「週末起業」です。
勤めながら「週末起業」して、低リスクで稼ぐ仕組みを作っていくことが提案されています。
プラス「覚悟」「度胸」「家族の同意」があって始めて、独立・起業できるという主張です。
考え方に関する提案のほかに、会計や法律の勉強方法も紹介されており、参考になります。
以下、読書メモ。
p.38
いったん「Aの分野ならあの人に」という存在になれれば、相手との関係が壊れない限り、いつまでもAの分野で仕事をいただくことができます。では、そういう存在になるためには、どうすればいいのでしょう。
〜略〜
「あのお客さんにとっての専門家になろう」と意識することです。
私がお願いしている税理士さんは、税法の改正があると、こちらから尋ねなくても「ここが変わりましたよ」と教えてくれます。こういうことができるのは、その税理士さんが「藤井が税金で頼れるのは自分だけだ」という意識を持っているからだと思います。
p.117
簿記二級ぐらいのレベルで十分ですので、最低限の会計の知識は身に付けておいてください。
p.118
私は、他の人の事業計画を見るときも、自分でいろいろなアイデアを思いついたときも、「誰に・何を・どう売るか」を考えるのが習慣になっています。これは、マーケティングを学ぶ過程で習得した私のフレームワークです。この三つをしっかり考えて、ツボを押さえておけば、確認するポイントを外すことはまずありません。
p.119
会計やマーケティング以外では、法律についての知識も最低限必要になります。どんな業種にも通じるものとしては、個人情報保護法や著作権法、また訪問販売法や特商法(特定商取引に関する法律)についても基本的なことは知っておいたほうがいいでしょう。
あたりまえだけどなかなかできない 33歳からのルール [book]
あたりまえだけどなかなかできない 33歳からのルール / 小倉 広 (著)
「33歳」という数字には、大きな意味はありません。
大学を卒業後、10年の節目を迎える歳というだけです。
内容から、30代全般の読者に向けて書かれているように思いました。
著者の主張、述べたいことが前面に出ているからか、会話調の文章が多いです。
が、読みにくいということはありませんでした。
40代以降の人生をよりよいものにしていくための基礎作りの羅針盤として、共感できるルールから試してみると良いかもしれません。
ただ、タイトルにもあるとおり「あたりまえだけどなかなかできない」ので、そこをうまく回していく仕組みが必要です。
以下、読書メモ。
p.22
「だって過去は変えられないじゃないですか。だったらそれはすべて良かったことにした方がいいんです。過去を活かすかどうかは自分で決められる。だから、過去に起きたことはすべていいことなんです。神様が何かを教えてくれているんです」
p.45
ノーブレス・オブリージュという言葉を覚えた。「高貴なるもの故のより高い責務」それが言葉の意味だった。つまり、位の高いものほど自分に厳しくあるべきだ、というフランスの言葉である。
p.72
「人生で最も大切なことは、最も大切なことを最も大切にすることである」
p.91
「小倉さん、睡眠時間が3時間でも平気になるコツがあるんですよ!」と。〜略〜「どんなに疲れていても、寝る前に必ずお風呂で湯船につかるんです。シャワーだけで済ませちゃいけません」。
〜略〜
そうすると眠りの深さが変わるんです。ぐっすり深く眠る。そうすると3時間で平気になるんです!
p.101
リーダーの欠点を笑う前に、こっそりと欠点を補ってあげるのだ。そしてリーダーの強みを引き出す。それがチームにとって最大の貢献になるからだ。
p.127
「相手のために」をやめて、「相手の立場に立つ」努力をしよう。こんなことを言ったら相手はどう思うだろうか?と。ポイントは「相手は」どう思うか?だ。
p.166
これから仕事が伸び盛りの人は不動産を買っちゃダメなんですよ。なぜかというと、その物件に縛られる。物件以上の男になれないんですね、
ハイ・コンセプト「新しいこと」を考え出す人の時代 [book]
ハイ・コンセプト「新しいこと」を考え出す人の時代 / ダニエル・ピンク (著), 大前 研一 (翻訳)
農耕社会、産業社会、情報化社会の次に来る波を予測し、解説しています。
その波とは、「コンセプチュアル社会」だそうです。
その社会を生きるには、「ハイ・コンセプト」「ハイ・タッチ」といった新しい思考やアプローチが必要とのこと。
さらには、「ハイ・コンセプト」「ハイ・タッチ」といった資質を身につけるにはどうすればよいかといったことについても書かれています。
キーワードとしては、調和、共感、デザイン、右脳など。
以下、読書メモ。
pp.14-15
つまり、「第一の波(農耕社会)」は、アルゼンチンやオーストラリアが圧倒的に強い。日本のように農作物輸入を規制しているところは、農民も何とか食べているが、それは納税者の犠牲の上において成り立っているわけであり、早晩持ちこたえられなくなる。
「第二の波(産業社会)」は、世界の生産基地となった中国が持っていってしまった。ロボットもその一部で、いまでは、「介護ロボット」までつくるというところまできている。
して、「第三の波(情報化社会)」は、インドが世界のメイン舞台だ。これに中欧、アイルランド、オランダ、フィリピン、モーリシャス、マレーシアといった意外な国々が続いている。
こうなると、「われわれは、これからどうやって飯を食っていったらいいんだ」ということになる。つまり、「第三の波」は、いまや個人の安穏な生活を保障してはくれない。知的労働者といわれる人たちでさえも、インドやコンピュータの脅威にさらされているのである。
では、どうしたらいいのか。
そこで、「第四の波」のことである。
「第四の波」というのは、ピンクによれば、要するに、「情報化社会」から「コンセプチュアル社会」、つまり、既成概念にとらわれずに新しい視点から物事をとらえ、新しい意味づけを与えていくという流れだ。
p.18
ベートーヴェンの音楽は「理屈」であり「左脳型」なのだ。
p.19
一方、モーツァルトは純粋無垢だ。
〜略〜
この音楽を聴いている人も右脳が純粋に刺激されていく。
〜略〜
だから、ボケッと聞くなら、モーツァルトを流しているのがいちばん良いということだ。
p.20
本当にすごい人というのは、右脳からアイデアを出させて、左脳で評価することができる。「必要条件」が右脳から出てきたら、それが「十分条件」かどうかを左脳で判断する。
p.27
本書では六つの重要な資質について考える。
私はこれを「六つのセンス(感性)」と呼んでいるが、仕事上の成功を収められるか、生活に満足を得られるかは、この「六つのセンス」に大きく左右されるようになる。
「六つのセンス」とは、デザイン、物語、調和、共感、遊び、生きがいだ。
p.28
その新しい時代を動かしていく力は、これまでとは違った新しい思考やアプローチであり、そこで重要になるのが「ハイ・コンセプト」「ハイ・タッチ」である。
「ハイ・コンセプト」とは、パターンやチャンスを見出す能力、芸術的で感情面に訴える美を生み出す能力、人を納得させる話のできる能力、一見ばらばらな概念を組み合わせて何か新しい構想や概念を生み出す能力、などだ。
「ハイ・タッチ」とは、他人と共感する能力、人間関係の機微を感じ取る能力、自らに喜びを見出し、また、他の人々が喜びを見つける手助けをする能力、そしてごく日常的な出来事についてもその目的や意義を追求する能力などである。
pp.102-103
1. 他の国なら、これをもっと安くやれるだろうか
2. コンピュータなら、これをもっとうまく、早くやれるだろうか
3. 自分が提供しているものは、この豊かな時代の中でも需要があるだろうか1と2の答えがイエス、あるいは、3の答えがノーだとしたら、あなたが抱える問題は深刻だ。
p.103
大いに発展したハイテク力を、「ハイ・コンセプト」と「ハイ・タッチ」で補完する必要がある。
p.120
豊かさ、アジア、オートメーションに翻弄されている世の中では、「左脳主導思考」は必要ではあるが、もはやそれだけでは不十分であり、私たちは、「右脳主導思考」に磨きをかけて、「ハイ・コンセプト、ハイ・タッチ」の資質を身につけなければならない。
対価の安い海外のナレッジ・ワーカーにはこなせず、処理能力の速いコンピュータにもできない仕事、また、豊かな時代における美的感覚と感情的・精神的要求を満たせるような仕事を行わねばならないのだ。
pp.122-124
1 「機能」だけでなく「デザイン」
商品やサービス、あるいは、体験やライフスタイルにおいても、もはや単に機能的なだけでは不十分だ。外観が美しく、感情に訴えかけてくるものを創ることは、今日、経済面において不可欠なことであり、個人のためにもなることである。2 「議論」よりは「物語」
情報とデータがあふれた今日の生活では、効果的な議論を戦わせるだけでは十分ではない。必ず、誰かがどこかであなたの議論の盲点を突き、反論してくるからだ。説得やコミュニケーション、自己理解に肝心なのは、「相手を納得させる話ができる能力」なのである。3 「個別」よりも「全体の調和」
「産業の時代」と「情報化時代」の大半を通じて、何かに焦点を絞ったり、特化したりすることが重視されてきた。だが、ホワイトカラーの仕事がアジアへ流出し、ソフトウェアに取って代わられるようになるにつれ、その対極にある資質に新たな価値が見出されるようになった。それはバラバラなものをひとまとめにする能力で、私が「調和(シンフォニー)」と呼んでいるものだ。今日、最も重視されるのは、分析力ではなく総括力、つまり全体像を描き、バラバラなものをつなぎ合わせて印象的で新しい全体像を築き上げる能力である。4 「論理」ではなく「共感」
論理的思考力は、人間に備わった特徴の一つである。だが、情報があふれ、高度な分析ツールのある世の中では、論理だけでは立ち行かない。成功する人というのは、何が人々を動かしているかを理解し、人間関係を築き、他人を思いやる能力のある人である。5 「まじめ」だけでなく「遊び心」
笑い、快活さ、娯楽、ユーモアが、健康面でも仕事面でも大きな恩恵をもたらすということは、数多くの例により証明されている。もちろん、まじめにならなければならない時もある。だが、あまり深刻になりすぎるのは、仕事にとっても、満足の行く人生を送るためにも、悪い影響を及ぼすことがある。「コンセプトの時代」では、仕事にも人生にも遊びが必要なのだ。6 「モノ」よりも「生きがい」
私たちは、驚くほど物質的に豊かな世界に住んでいる。それによって、何億もの人が日々の生活に苦しむことから解放され、より有意義な生きがい、すなわち目的、超越、精神の充足を追い求められるようになった。
p.129
デザインは、古典的な全体思考能力だ。ヘスケットの言葉を借りれば、「実用性」と「有意性」の組み合わせである。
コマーシャルデザイナーは、読みやすいパンフレットを手早く作り上げる必要がある。これが「実用性」である。
だが、パンフレットとして最大の効果を上げるには、言葉では表現しきれないアイデアや情感を読む人に伝えなくてはならない。これが「有意性」である。
pp.158-159
カリム・ラシッドにアドバイスを求めたところ、「カリマニフェスト」とも言える彼のモットーを教えてくれた。生活とデザインに関する指針が五〇のポイントにまとめられているものだが、そのうちのいくつかを紹介しておこう。
1 専門的になるな。
5 ものを作り出す前に、そのアイデアやコンセプトがオリジナルのものなのか、それには本当に価値があるのかどうかを自問してみること。
6 自分が経験してきた仕事についてすべて理解し、その上で何か新しいものをデザインする時には、前のものは全部忘れてしまうこと。
7 「やれたはずなんだけど」とは決していわない。それは、やらなかったことだからだ。
24 モノではなく、「経験すること」にお金を使え。
33 「普通」というのはいいことではない。
38 世の中には三種類の人間がいる。文化の創造者、文化の消費者、文化など意に介さない人。最初の二種類の人間のどちらかになるようにする。
40 一つのことにこだわらず、広く物事を考える。
43 生活で最も重要なのは「経験」である。そして、アイデアの交換や他人との触れ合いこそ、本来の人間のありかただ。場所や対象物によって、経験の印象が強まったり、台無しになったりすることがある。
50 今この場が、私たちにとってすべてである。これらの言葉は、数多くの作品を生み出し、世界で最も多彩で、高い評価を得ているデザイナー、カリム・ラシッドからの引用である(詳細は www.karimrashid.com を参照)。
p.170
事実というのは、誰にでも瞬時にアクセスできるようになると、一つひとつの事実の価値は低くなってしまうものなのだ。そこで、それらの事実を「文脈」に取り入れ、「感情的インパクト」を相手に伝える能力が、ますます重要になってくるのだ。
そして、この「感情によって豊かになった文脈」こそ、ものを語る能力の本質なのである。
p.205
シンフォニーとは、バラバラの断片をつなぎ合わせる能力である。
「分析する」というよりも「統合する力」であり、「一見、無関係に思える分野に関連性を見出す力」、「特定の答えを出す」というよりも「広範なパターンを見つける力」、そして「誰も考えなかったような要素の組み合わせから新たなものを創造する力」なのだ。
p.225
「一般人と卓越したリーダーとを分かつものは、一つの認知力でしかなかった。それは、パターン認識力だ。全体像をとらえて考えることで、周囲を取り巻く多種多様の情報から意義のあるトレンドを選び出し、将来に向けての戦略的思考ができるのである」
2009 年 8 月に読んだ本 [book]
今月は 6 冊読みました。
ref.[2009-08-29-2]
* デジタルネイティブが世界を変える / ドン・タプスコット (著), 栗原 潔 (翻訳)
ref.[2009-08-29-1]
* ダイエットに成功する人は、なぜ仕事もうまくいくのか? / はまち。 (著)
ref.[2009-08-23-1]
ref.[2009-08-21-1]
* 影響力の武器 第二版 なぜ、人は動かされるのか / ロバート・B・チャルディーニ (著), 社会行動研究会 (翻訳)
ref.[2009-08-20-1]
ref.[2009-08-19-1]
マネー力 [book]
前半は、サブプライム後の世界の経済の動きが予測されています。
このような国家が信用できない時代には、「自分の資産は自分で守れ!」ということですが、では、マネー脳の鍛え方はというと、
p.140
要するに、真のマネー力というのは、危機感を持って日々の生活を営んでいる人でないとなかなか身につかないのだ。
という論につき、具体的なノウハウについては記述はありません。
後半は、ビジネス・ブレイクスルー大学院の株式・資産形成講座の宣伝です。
内容は薄いと思います。
以下、読書メモ。
p.32
アメリカのドルが落ちる瞬間が、二〇〇九年のどこかの時点であるはずだ。ヨーロッパは現在無防備だからユーロが落ちているけれども、それはいつか止まるだろう。
p.57
このように、内向き下向き後ろ向きの日本企業と違って、タタはやることなすことが世界規模なのである。ムンバイのテロで一躍有名になったタージマハルホテルもタタ・グループのものだ。タタに限らず、インドには経営力のある事業家が多い。この点は明らかに中国より上だ。そんな彼らが国内企業はもとより、今後も世界の企業を買収していくことは容易に想像できる。
p.63
ロシアはオイルマネーのおかげで、〇七年には債務国から債権国に転じた。だが、ロシアの好景気の要因は決してそれだけではない。プーチン前大統領が導入したフラットタックスがなければ、ここまでロシア経済が活況を呈することはなかったろう。
p.66
>三〇〇〇兆円の余剰資金のゆくえを知りたければ中国とインド、ロシア、それからバルカン半島とトルコ、このあたりの動きには、絶えず目を光らせておく必要がある。
p.104
サブプライムローン問題の底が見えて、世界の投資資金が戻ってこないうちは、住宅価格は上がらないから、それまでアメリカは景気低迷を余儀なくされるだろう。ということは、経済がアメリカと強くカップリングしているところは、当面投資先として適当ではないということになる。
デジタルネイティブが世界を変える [book]
デジタルネイティブが世界を変える / ドン・タプスコット (著), 栗原 潔 (翻訳)
「デジタルネイティブ」と呼ばれるネット世代の考え方や行動を統計を取り、分析しています。
そして、今後どのような世界になっていくのか、を示唆しています。
「デジタルネイティブ」が強調されていますが、内容としては、ネット世代でなくてもネットを使いこなしている人々にも当てはまるものかと思います。
ただ、「ネイティブ」であるかどうかは、本書で紹介されている 8つの行動基準を無意識に持っているかどうか、によるものだ思います。
pp.107-108
私の子供たち、そして、我々が調査対象とした三〇〇人の若者との経験を通じて、私はこれらの若者たちがその両親とはまったく異なっていると結論づけた。これらの相違点をネット世代の「行動基準」と呼びたい。つまり、若者たちに特徴的な姿勢と行動だ。これらの特性は、今の若者たちの両親であるベビーブーム世代など他の世代とは明確に異なっている。こうした行動基準は世界中のネット世代六千人に対する調査から明らかになったものだ。
八つの行動基準とは 1 自由 2 カスタム化 3 調査能力 4 誠実性 5 コラボレーション 6 エンターテイメント 7 スピード 8 イノベーション、である。
pp.142-143
本章で挙げたこれらの項目がネット世代の八つの行動基準だ。ネット世代は自由を評価する。自分がなりたい人物になり、選択の自由があることを評価する。あらゆるもの、たとえば、自分の職業すらもカスタマイズしたがる。懐疑的になることを学んでおり、メディア (インターネットも含めて) で見聞きしたあらゆるものを精査しようとしている。ネット世代は誠実性を評価する。正直であり、思いやりがあり、透明性が高く、自らの信念に背かないことを評価する。職場においても、そして、友人との間でもコラボレーションを得意とする。そして、イノベーションを行うことを好む。これがネット世代だ。
このような行動基準を持った「デジタルネイティブ」が学校に入ってきたとき、教育現場は変わらなければならない。
このような世代が職場に入ってきたとき、人材管理は変わらなければならない。
そして、このような世代が選挙権を持ったとき、政治も変わらざるを得ないだろう、という提言がなされています。
一方、「デジタルネイティブ」には 1つ、プライバシーについて警告がなされています。
Facebook などでプライバシーをさらけ出していると、将来、例えば就職なので困ることになるかもしれない、という警告です。
以下、読書メモ。
p.11
八つの特性、いわば、行動基準がネット世代の特徴となっており、親の世代であるベビーブーム世代との相違点となっている。ネット世代は、自由、特に選択の自由を尊重する。ものをカスタマイズすることを好み、自分だけのものにしたがる。生まれながらにして協業が得意であり、一方的な講義よりも対話を好む。他人や企業を綿密に調査し、誠実さを何よりも重視する。学校でも職場でもおもしろさを求める。スピードが大前提であり、イノベーションは生活の一部である。
p.55
ネット世代はバラク・オバマを大統領選の民主党候補として支援し、政治の世界に入り込むことになった。ネット世代による選挙活動の経験は大統領選の日で終わるものではないと、私は考えている。ネット世代が政治や行政において受動的な役割に留まることはないだろう。すでに、ネット世代は政治団体に対して自分たちを関与させるよう要求している。行政のあり方についても変化を要求するだろう。ネット世代はホテルのチェックインやレンタカーの貸し出しが三〇秒でできるのを知っている。であれば、なぜ行政サービスも同じようにできないのかと考えるだろう。
pp.81-82
エンジェネラのエグゼクティブディレクターであるアラン・メジャーは次のように述べている。「人は新しいものを古い枠組みで考える傾向がある。たとえば、自動車が登場した時、人々はそれを『馬なし馬車』と考えた。運転手が乗客と同じ室内にいてもよいということはその時点ではただちに明らかにはならなかった。
pp.107-108
私の子供たち、そして、我々が調査対象とした三〇〇人の若者との経験を通じて、私はこれらの若者たちがその両親とはまったく異なっていると結論づけた。これらの相違点をネット世代の「行動基準」と呼びたい。つまり、若者たちに特徴的な姿勢と行動だ。これらの特性は、今の若者たちの両親であるベビーブーム世代など他の世代とは明確に異なっている。こうした行動基準は世界中のネット世代六千人に対する調査から明らかになったものだ。
八つの行動基準とは 1 自由 2 カスタム化 3 調査能力 4 誠実性 5 コラボレーション 6 エンターテイメント 7 スピード 8 イノベーション、である。
pp.142-143
本章で挙げたこれらの項目がネット世代の八つの行動基準だ。ネット世代は自由を評価する。自分がなりたい人物になり、選択の自由があることを評価する。あらゆるもの、たとえば、自分の職業すらもカスタマイズしたがる。懐疑的になることを学んでおり、メディア (インターネットも含めて) で見聞きしたあらゆるものを精査しようとしている。ネット世代は誠実性を評価する。正直であり、思いやりがあり、透明性が高く、自らの信念に背かないことを評価する。職場においても、そして、友人との間でもコラボレーションを得意とする。そして、イノベーションを行うことを好む。これがネット世代だ。
p.340
今では、およそ半数が、子供たちにポルノ、暴力、犯罪など不適切なコンテンツを見せないように、親の信条に沿ってカスタマイズされたフィルタリングソフトを使っている。これにより、両親は子供たちの他の行動も追跡できる。つまり子供の活動を盗み見することも可能になる。これは私には恐ろしいことのように感じられる。ティーンエイジャーにとってこのようなツールを使われるということは、「お前のことは信用していない」とはっきり言われることと何ら変わりはない。
p.349
新しいネット世代の家庭では、インターネット上の活動を制限せず、インターネットで見つけたものやその意味について隠し立てすることなく親と話す。その舞台となるのは、昔からある伝統的な家族の食卓だ。両親はただ話すだけでなく耳を傾ける。両親は、自分や子供がインターネットで見つけ出した新しいアイデアに心を開き、興味を持つ。検閲や盗み見や命令をするかわりに、話し合い、説明し、共通の視点を築き上げる両親は、昨今のビジネス誌で賞賛を集める模範的なCEOに似ている。オープンファミリーは、学習し、適応し、進化している。
ダイエットに成功する人は、なぜ仕事もうまくいくのか? [book]
ダイエットに成功する人は、なぜ仕事もうまくいくのか? / はまち。 (著)
「ダイエットに成功する人は、なぜ仕事もうまくいくのか?」その答えを言ってしまうと、
p.3
朝バナナダイエットのコンセプトでもある「お金をかけない・時間をかけない・ガマンしない」に沿った仕事術を編み出し、そのとおりに実行してきたら、いつのまにか大きな成果をあげることができていたのです。
本文では、「お金をかけない・時間をかけない・ガマンしない」に沿った仕事術とはどういった仕事術なのか、紹介されるはずなのですが、具体的なワザよりも考え方方面のノウハウが多いです。
その中でも特に中心的な考え方としては、「集中することを一つに決める」ということが紹介されています。
確かに正しい考え方なのですが、二番目以降を捨てることになるので、「ガマンしない」に矛盾している感もあり、実践が難しいところです。
ワザ的なノウハウは、ふせんをコミュニケーションのツールとして使う、マインドマップ、本をシェアして体験を共有する、などが紹介されてです。
以下、読書メモ。
p.15
<私が作った二つのルール>
* 一年間、自己成長のために最大限の時間を割り当てる。お金は必要なら使う。
* まよったらやる。
pp.18-19
私がオンラインゲームをすぱっとやめることができたのは、オンラインゲームをやめることに「痛み」を感じることなく、むしろ今までのだらしない状況がずるずる続くことに痛みを連想したからです。
p.29
やりたいことを全部書き出そう!すぐに一つ始める。二つ同時にやらない。
p.39
一番を決めるということは、二番目以降のものを捨てるということです。一つだけ選ぶのはなかなか難しいですね。二番目以降のものも気になるでしょう。
しかし、おしなべて、成功する人は同時に複数の目標を掲げることはありません。
より多くのことを、より短い時間でこなすことがあたかも重要なことのように思えますが、本当に大切なのは、「一番重要なことを一番重要に扱う」ということ。結果が出るまでは、その一つだけに最大限集中します。
p.52
テレビを観るときは、「この番組を観た結果、自分が得られるモノは何なのか」を考えて、観るかどうかを選択する習慣をつけましょう。
p.75
私が使っている情報源の共通点は相手に実際に会うことを想定していること。一対一の関係を作る、関係を深めることにつながるものを厳選しています。
p.115
成功する人と、そうでない人の差は何でしょうか?
それは、成功するためのポイントを知っているかどうかだけです。そのポイントをスムーズに理解するには、「どうしたら?」と考えることです。
p.124
きちんと聴くことができる人は、実はとても限られています。体の正面を相手に向けて聴くだけで、普通の人よりきちんと聴くことができて、一歩リードできます。
ムダな仕事はもう、やめよう [book]
著者はトリンプの社長として行ってきた「残業禁止」などの効率アップ術を、これまで多くの著書で紹介しています。
本書もこれまでの著書の内容と重なる内容が多くあります。
例えば、残業をなくすことの利点、がんばるタイム、効率的な会議の方法、TTP(徹底的にパクる)、速い決断・意志決定など。
本書は、その中でも新しい本になるので内容がよりまとまっているように感じました。
また、残業をなくすことの利点について、他の著書より多く解説されています。
仕事を人生の中でどうとらえるか、著者の考え方は参考になります。
以下、読書メモ。
p.25
では、なぜヨーロッパのビジネスパーソンは週末を「休み」ではなく「遊び」に充てられるのか。
それは平日の仕事の疲れを、平日のうちに取り除いてしまうからだ。
p.95
上司や同僚から重要度や緊急度が怪しい仕事を頼まれたら、ひとまず脇に置いて、自分の仕事に集中してみよう。本当に必要なものなら催促が来るし、不要なものならそのまま忘れ去られるか、頼んだ本人が何かのついでに片づけてしまうはずだ。
p.111
日々の仕事で発生する小さな意志決定については、制限時間0分でいい。つまり、考える前に体を動かせ、ということだ。
例えば上司に商談の進捗状況を報告するとき、話す内容を頭のなかでまとめてから上司のデスクに向かうのでは遅すぎる。まず席を立ち、歩きながら報告内容を整理すればいい。報告をしなければいけない重要なことはそんなにあるはずはないし、むしろ単刀直入であるべきで、よほど複雑な商談でない限り、たいていはそれで事足りる。
深く考える前に行動に移すと、判断を誤って結局は余計に時間がかかるのではないか、と心配する人もいる。
たしかにときには判断を間違えて、少し遠回りをしなければならないケースもある。しかし、断言してもいい。トータルで見れば、考える前に体を動かす習慣をつけた方が絶対に早く片づく。
p.123
会議で問題が先送りされる原因は、そもそも会議で何を決めるべきなのかがわかっていないからだろう。決定しなければいけないのは、新しい案件の場合、まずは「誰が何をいつまでに」というデッドラインだけである。
これさえ会議で固めれば、あとは担当者としての結論としてまとめてきてもらうのだ。やり方はまったくの自由。担当者が自分の裁量でいろいろな工夫ができるので、本人も前向きに仕事に取り組める。会議ではその担当者の "こうします" という結論をたたくのだ。
p.147
仕事がデキない上司ほど、ホウ・レン・ソウを強要します。
というのも、常に部下を縛りつけていないと不安だから。
仕事がデキる上司は、放任主義です。
入口と出口だけ確認して、
途中のプロセスを部下に任せるのが優秀な上司です。
影響力の武器 第二版 なぜ、人は動かされるのか [book]
影響力の武器 第二版 なぜ、人は動かされるのか / ロバート・B・チャルディーニ (著), 社会行動研究会 (翻訳)
昔から有名なセールス・交渉テクニックについて、多数の実験や実例を交え解説されています。
それぞれの心理学の原理、返報性、一貫性、社会的証明、好意、権威、希少性については、一度は聞いたことがあるものなのですが、実例が豊富なため納得できる内容になっています。
また、ここで解説されているテクニックを使って忍び寄ってくる罠について、どのように対処すればよいのか、といった視点でも述べられている点がおもしろいです。
心理的なスイッチが入って、行動が自動的に制御されることを、テープレコーダーに例え「カチッ、サー」と比喩しています。
この「カチッ、サー」が頻繁に出てくるのですが、個人的にはあまりなじみがない擬音で、しっくり来こず、唯一残念な点でした。
以下、読書メモ。
pp.vii-viii
承諾誘導の実践家が相手からイエスを引き出すために使う戦術は何千とありますが、その多くが六つの基本的なカテゴリーに分類できるということです。それぞれのカテゴリーは、人間行動を導く基本的な心理学の原理に支配されており、このことが、用いられる戦術にパワーを吹き込んでいるのです。これらの原理ーーー返報性、一貫性、社会的証明、好意、権威、希少性ーーーは、社会でどのように機能するのだろうか、説得のプロたちが、どのようにそれらの原理が持つ巨大な力を巧みに組み合わせて購買、寄付、譲歩、投票、同意を獲得する要請に仕立て上げていくのだろうか。
p.42
被験者がジョーからコーラをもらった条件においては、好意度と承諾率との間の相関関係がまったくなくなっていたということです。ジョーに借りがある被験者は、相手を好きだろうが嫌いだろうが関係ありませんでした。借りを返さなければという義務感を感じ、実際、その通りに借りを返したのです。
p.56
被験者はコーラを貰うことでジョーに恩義を感じることになりました。このことは、ジョーがチケットを何枚か買ってほしいと頼んだときに明らかになったわけです。この場合、両者がまったく釣り合いのとれていない関係にある、という店に注目してください。つまり、ジョーだけが完全に自由な選択を行ったのです。最初にどのような親切を行うかを選んだのは彼ですし、お返しに何を買うかを決めたのも彼です。
p.71
イスラエルのバーリアン大学で行われた研究では、最初の要求が法外に大きな要求を最初から出してくる相手は、誠実に交渉を行っていると見なされないからです。最初の要求が現実離れしたものであれば、そこからいくら要求を引き下げても本当の譲歩だとは受け取ってもらえません。したがって、お返しの譲歩も行われません。
p.87
もう一つの解決法の方が期待がもてます。他者の申し出は受け入れるのですが、その申し出がどのような体裁をとっているかではなく、根本的に何であるかを判断して受け入れるのです。
p.87
しかし、最初の好意が、私たちを刺激してもっと大きなお返しを得ようとするために特別に仕組まれた策略であることが明らかになれば、話はまったく違ってきます。その相手はもはや恩人ではなく搾取者なのですから、相手の行為に対してはそれに見合ったやり方で対応すればよいのです。
p.89
もしあなたがこのような場にいて、高い警報装置を売りつけることが検査者が訪問してきた主な理由であることに気がついたとしたら、あなたが次にとるべき行動は単純かつプライベートなものです。心のなかで状況を定義しなおすのです。つまり、検査者から受け取ったものーーー消化器、防火に関する情報、危険箇所の検査ーーーを、贈り物ではなく販売の手練手管だと考え直すのです。そうすれば、返報性のルールの影響をまったく受けないことになりますから、買いませんかという誘いを体よく断るも (あるいは、受け入れるも) あなたの自由になります。
p.99
自分がすでにしたことと一貫していたい (そして、一貫していると見てもらいたい) という欲求によるものなのです。ひとたび決定を下したり、ある立場を取ると、そのコミットメントと一貫した行動を取るように、個人的にも対人的にも圧力がかかります。そのような圧力によって、私たちは前の決定を正当化するように行動します。
pp.114-115
強力な一貫性のテープをサーと回転させるカチッは、何によって生み出されるのでしょうか。社会心理学者は答えを知っていると考えています。それは、コミットメントです。もし私があなたをコミットメントさせる (すなわち、立場を明確になせる、公言させる) ことができたとしたら、よく考えもせずに自動的にそのコミットメントと一貫性を保つためのお膳立てができたといってよいでしょう。立場を明確にすると、その立場と強固に一貫して行動しようとする傾向が自然と生じるのです。
p.152
社会科学者は、人は外部から強い圧力を受けずにある行為をすることを選択すると、その行為の責任は自分にあることを認めるようになると明言しています。価値ある報酬というのも外部からの圧力の一つです。それは、人に何かをさせることはできても、その行為に対する責任を感じさせることはできません。その結果、ある行為にコミットしたという気にならないのです。同じことが強い脅しについても言えます。強く脅せば、そのときは承諾させられるかもしれませんが、長期間に及ぶコミットメントを生み出すことはないのです。
ここで述べたことはすべて、子育てに重要な意味をもっています。子どもが本心からやってほしい、そう願っていることを子どもたちにさせるときには、決して魅力的なごほうびで釣ったり、強く脅してはいけないということを教えているのです。そのような圧力によって、親が望んでいることを一時的に子どもにやらせることはできるでしょう。しかし、それにとどまらず、自分のやったことは正しいと子どもに信じてもらいたいのなら、また、自分がいなくて、外部からの圧力が加えられないところでもその望ましい行動をとり続けてもらいたいのなら、なんとかして、子どもにして欲しいと思う行動に対して、子ども自身に責任を感じてもらうようにしなくてはなりません。
p.181
最初のコミットメントが間違っているかどうか明確でないときに、最も効果的に用いることができる。その場合、「今知っていることはそのままにして時間を遡ることができたら、同じコミットメントをするだろうか」という厄介な質問を自分自身に問いかけなくてはならない。そのとき、役に立つ答えをもたらしてくれるのは、最初に沸き上がってきた感情である。
p.189
なぜ、録音笑いがこれほど効果的なのかを明らかにするためには、私たちはまず、もう一つの強力な影響力の武器の性質を理解する必要があります。社会的証明の原理です。これは、私たちは他人が何を正しいと考えているかにもとづいて物事が正しいかどうかを判断する、というものです。この原理が特に適用されるのは、正しい行動が何であるかを私たちが決めるときです。特定の状況のもとで、ある行動を遂行する人が多いほど、それが正しい行動だと見なすのです。
p.225
他のすべての影響力の武器と同じように、社会的証明の原理が特に強く作用する条件がいくつかあります。その一つが不確かさです。どう振る舞えばよいのか確信がもてないとき、人は他者の行動を参考にして自分の行動を決める傾向があります。このことに疑問の余地はありません。もう一つの重要な条件は類似性です。社会的証明の原理は、自分と似ている人の行動を見ているときにもっとも強く作用します。どう振る舞うのが適切なのかを考えるとき、一番参考になるのは自分と類似した他者の行動です。したがって、私たちは、自分と異なる人よりも類似した人が示す行動に従いやすいものなのです。
p.247
もちろん彼はまれにみる精力的な人物でしたが、彼の発した力が、その並外れた個人的スタイルよりも、基本的な心理学の原理を彼が知っていたことに由来するというのが驚きです。天性のリーダーとしての彼の資質は、彼が一個人のリーダーシップの限界を知っていたことにあります。いかなるリーダーでも、集団のすべてのメンバーを一人の力で完全に説得できるものではありません。しかし、強力なリーダーなら、集団のかなりの割合の人を説得できると考えてよいでしょう。そして、集団のかなりの数のメンバーが納得したという生の情報が、それ自体、他のメンバーを納得させるのです。したがって、もっとも影響力のあるリーダーというのは、社会的証明の原理が自分に有利に働くようにするためには集団の状況をどう整えればよいのかを知っている人なのです。
p.249
幸運にも、このジレンマから逃れる方法が一つあります。つまり、自動操縦が支障をきたすのは、主として不正確なデータがコントロール・システムに入力される場合なので、こうした事態に対処する最良の防衛法は、どういうときにデータが誤るのかを知ることなのです。社会的証明という自動操縦が不正確な情報をもとに作動している状況に対して敏感になれば、私たちは必要なときにそうしたメカニズムを停止させて、自分でコントロールをすることができるはずです。
p.249
誤ったデータが原因で、社会的証明の原理が役に立たなくなってしまう状況が二つあります。一つは社会的証明が意図的に歪められて提供される場合です。こうした状況は常に、私たちに遂行して欲しいと搾取者が思っている行動を大衆が遂行しているという印象ーーー歪められた現実ーーーを演出しようとする搾取者の意図によって作り出されるのです。
p.252
自動操縦は随時にスイッチを入れたり切ったりできるので、私たちは不正確なデータが使われていることに気がつくまで、社会的証明の原理によって操縦されているコースを信頼して巡ることができます。誤りがあったときには自分でコントロールし、誤った情報に必要な修正を施し、自動操縦を再びセットすればいいのです。
p.421
この研究では、奇妙には思えるけれども、希少性に関する真実を物語るような事柄が明らかにされました。つまり、数が少ない方のクッキーは確かに望ましいと評定されたのですが、たくさんあるクッキーよりおいしいとは評定されなかったのです。希少性はそれを求める気持ちを高めることはできても (実験参加者は、これからもその希少なクッキーが欲しいと思う、そしてより多くのお金を支払うだろうと考えていました)、クッキーの味を良く感じさせるまでには至らなかったのです。ここに、よく考えなくてはならない重要な点があります。つまり、喜びは希少な品を体験してみることにあるのではなく、それを所有することにあるのです。この二つを混合しないことが大切なのです。
p.421
しかし、所有する目的だけのために、あるものが欲しくなることはめったにありません。やはり、その有用性のために欲するのです。食べたり、飲んだり、触ったり、聞いたり、動かしたり、というように、それを利用するために欲するのです。このような場合でも、希少性が高いものが、なかなか手に入りにくいという理由だけでおいしくなったり、感じが良くなったり、音が良くなったり、乗り心地が良くなったり、よく動くようになったりすることはないのだ、ということを決して忘れてはいけません。
ルーチン力 [book]
メインのトピックはタスク管理 (スケジュールの立て方) です。
といっても内容は単純で、仕事をタスクに分解し、締め切りまでの日数でスケジュールを割り当てていくという方法が解説されています。
「どのくらい」の量の時間が使えるかを明確にし、日々の仕事をクローズドリストで管理します。
そして、その方法をうまく回すために、毎週ないし毎日行うルーチンタスクは Google カレンダーに登録したり、メーラでリマインドするなどの tips が紹介されています。
その他、アイデア発想法、超整理法、休憩を取る、プレゼンのスライドを使い回すなど、ルーチン化とは直接関係ない tips なども紹介されています。
タスク管理に関する多くの内容が自分ですでに実践していることと同じで、おっ、と思うものはありませんでした。
いわゆるハウツー本は、人によって向き不向きがあるかと思いますが、自分が実践してある程度うまくいっている内容なので、タスク管理に悩んでいる人は試してみてもよいのでは、と思いました。
2009 年 7 月に読んだ本 [book]
今月は 6 冊読みました。
* More Joel on Software / Joel Spolsky (著), 青木 靖 (翻訳)
ref.[2009-07-30-1]
* 危機を超えて すべてがわかる「世界大不況」講義 / 伊藤 元重 (著)
ref.[2009-07-21-1]
* これからはじめる デジタル一眼レフの本 一歩上行く本格写真が撮れる!! / 野内 幸雄 (著), 長谷川 丈一 (著)
ref.[2009-07-18-2]
ref.[2009-07-07-1]
ref.[2009-07-04-1]
ref.[2009-07-03-1]
More Joel on Software [book]
More Joel on Software / Joel Spolsky (著), 青木 靖 (翻訳)
あとで書く。
JAL SKYWARD 購読開始 [book]
http://www.jal.co.jp/inflight/skyward/
JAL の機内誌 SKYWARD は国内や海外の文化の紹介や紀行記事など、とても内容が充実していて楽しめます。
頻繁の飛行機に乗るわけではないので、購読してみることにしました。
オーダーは、(株)JALロジスティクス JALメールオーダー係 (TEL 03-3768-7070) に電話で。
年間 5,760円です。
危機を超えて すべてがわかる「世界大不況」講義 [book]
危機を超えて すべてがわかる「世界大不況」講義 / 伊藤 元重 (著)
これからはじめる デジタル一眼レフの本 一歩上行く本格写真が撮れる!! [book]
これからはじめる デジタル一眼レフの本 一歩上行く本格写真が撮れる!! / 野内 幸雄 (著), 長谷川 丈一 (著)
「知」のソフトウェア [book]
副題にあるとおり、「情報のインプット&アウトプット」について、考え方と具体的な方法が書かれています。
ただ、1984年の本であるため、具体的な方法については、時代を感じます。
とうじはやっとコンピュータを使えるようになってきた時期で、情報源は、新聞や雑誌であったし、情報整理にはスクラップやカードを使う例が示されています。
現在では、ネットでの情報収集や、PC での検索が当たり前となっているため、本書のやり方そのまま模倣する必要はありませんが、その考え方や基本的な部分は今でも十分通用すると思います。
p.236
最後にもう一度述べておくが、本書の内容を一言で要約すれば、自分で自分の方法論を早く発見しなさい」ということである。本書を含めて、人の方法論に惑わされてはならない。
とあるように、本書の内容を、自分で応用していくのがよいでしょう。
以下、読書メモ。
p.14
速読に必要なのは、ひとえに精神の集中である。
p.18
この二つのタイプのインプットとくらべると、目的先行型のほうが、無目的型よりはるかに能率が高い。私の場合は五倍から十倍は能率がちがうといってよいと思う。
一冊の本を楽しみながら読むなら、一日二冊がせいぜいだろう。しかし、特定の情報を求めて文献渉猟するとなったら、一日に十冊、二十冊の本にあたっていくということはさして困難ではない。
pp.18-19
ではどこが必要で、どこが必要でないかをどうやって見分けるか。何より重要なのは、自分が何を必要としているのかを明確に認識しておくことである。なんでもないことのようだが、これが一番重要なのである。それさえはっきり認識していれば、目次、小見出し、索引を活用すれば、だいたいの見当がつく。だいたいの見当で必要そうなページを開いてみて、今度は段落ごとに数行ずつ目を走らせてみれば、そこが必要かどうかの見当がつく。必要な部分に出会ったら、そこを精読する。
p.96
まず、よき入門書を手に入れるのが肝要である。よき入門書は、次の条件を満たしていなければならない。第一に、読みやすくわかりやすいこと。第二に、その世界の全体像が的確に伝えられていること。第三に、基礎概念、基礎的方法論などがきちんと整理されて提示されていること。第四に、さらに中級、上級に進むためには、どう学んでいけばよいか、何を読めばよいかが示されていることなどである。
入門書は大切だから、予算があり、数もそんなに多くなければ、あるだけ全部の入門書を買ってしまうというのもよい(もちろんパラパラめくってみて、あまりにひどいものは除く)。ともかく、入門書は一冊だけにせず何冊か買ったほうがよい。その際、なるべく、傾向のちがうものを選ぶ。定評のある教科書的な入門書を落とさないようにすると同時に、新しい意欲的な入門書も落とさないようにする。
p.97
入門書をつづけて何冊か読むことが、その世界に入っていくための最良のトレーニングになる。よくわからないところはとばしてよいからどんどん読みすすむ。この段階では、わからにところをわかろうと努力して考え込むようなことはしないほうがよい。入門書で出てきたわからないことというのは、たいてい著者の説明不足から起きていることであって、別の入門書を読むか、中級書を読めばすぐにわかることがほとんどなのである。
pp.125-126
人にものを問うということを、あまり容易に考えてはいけない。人にものを問うときには、必ず、そのことにおいて自分も問われているのである。質問を投げ返されたときに、「問うことは問われること」という二重構造がはっきり表に出てくる。こわい相手に出会うと、そのうち、どちらが問う者で、どちらが答える者かわからなくなってくる。プラトンの対話編がその典型だろう。
p.135
想像力という点に話を戻すと、ロッキード裁判の法廷に登場した証人の中で、検事に詳細な供述をした証人が、どうしてそんなに詳細に供述ができたのかと問われて、「取り調べの検事さんに、『頭の中で絵を描け』といわれました」と答えた人がいた。
「頭の中で絵を描け」というのは、想像力を働かせるのにいい方法論である。相手の答えを聞きながら、自分の頭の中に絵を描いていく。絵が描ききれない部分があれば、そこを問う。そのとき重要なのは、一つの場面について一枚の絵だけでなく、何枚もの絵を描いていみることである。
p.146
インプットとアウトプットの間、つまり、アウトプットの準備段階が重要である。
pp.146-147
この過程は、酒造りの工程に似ている。酒造りの肝心かなめの行程、つまり、発酵工程は、酵母の手によってなされるのであって、人の手によってなされるのではない。
p.149
待っても何も出てこなかったら、それで終わりである。無理に頭をふりしぼって、何かしゃべったり書いたりすることもあるまい。貧しい頭をもって生まれた我が身の不幸を心ひそかに嘆くにとどめて沈黙を守るのが一番よい。
p.208
まず第一に、読者と自分が共有している共通の前提知識が何であるかを、常に意識しておくことである。認識しておくというより、それは書きながら自分で設定していくものである。
p.212
具体的には、論理学でいう「充足理由律」が満たされているかどうかを確認せよということだ。あることをいうために、それがいえるという充分な理由が示されているかどうかを見よということだ。それをみるためによい方法は、自分が誰かと論争をしている最中なので、スキあらばこちらの弱いどんな部分にでも相手がかみついてくるものと仮定して、もう一度自分が書いたものを読み直してみることである。いっそ論争相手になったつもりで読み直してみよということだ。